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マカオ

マカオ 中国 街並み洗練 新たな顔

青空に映える世界文化遺産の聖ポール天主堂跡。手前には中国とポルトガルの友好を表す像が立っていた

青空に映える世界文化遺産の聖ポール天主堂跡。手前には中国とポルトガルの友好を表す像が立っていた

 欧州のような美しい街並みにショッピングとスイーツ。女性も楽しめる都市。それが中国特別行政区・マカオの新しい姿だった。怪しいネオンにカジノ、男の桃源郷といった、かつてのイメージはすっかり薄れていた。現地へ行くまでは少し不安だったが、想像は見事に裏切られた。

 香港国際空港から高速フェリーで約45分。フェリーターミナルからバスでフレンドシップ橋を南下すると、右手には「グランド・リスボア」を中心とした老舗カジノのネオンが薄暮の中でぎらついて見えた。左手には香港とつながる海上橋の建設が急ピッチで進んでいた。

 到着したコタイ地区は、2つの島の間が埋め立てられてできた新天地。西洋資本のカジノリゾートを4つそろえ、世界中の観光客を呼び込んでいる。ここには市民の居住区はなく、良くも悪くも思い切りの良さには感心する。

 アジアのラスベガスとも言うべき街には、カジノのほかに、宮殿のようなホテル群、世界中のブランドをそろえた巨大なショッピングモール、劇場、コンベンション施設など、最先端のものがなんでもそろっていた。女性ならば色柄鮮やかな服飾店のショーウインドーに足を止め、グルメ好きならミシュランの星付きの高級レストランに心が動くかもしれない。家族連れを意識してか、子ども向けのサービスも充実していた。

ヨーロッパをほうふつとさせる旧市街の小道

ヨーロッパをほうふつとさせる旧市街の小道

 一方で、半島側の街を歩けば16世紀のマカオが顔をのぞかせる。ここはその昔、ポルトガルが居留地とし、その後、中国植民地化の足場にした地。イエズス会の宣教師らは、ここから戦国時代の日本に向かった。

 マカオのシンボルともいえる聖ポール天主堂跡は世界文化遺産「マカオ歴史市街地区」を代表する名所。3度も火災に遭い、正面の外構だけが残る珍しい遺産。しかし、レリーフの美しさ、天にのびた荘厳さのある構えなどは見る者を圧倒するような存在感がある。風雨により損なわれないように鉄骨で補強するなど、文化財を守ろうとする必死さに共感を覚えた。

 近くのセナド広場は、モザイクの石畳とパステルカラーの欧風建築が美しい。360度、どこを向いても絵になる。中国本土や周辺アジアからの観光客が記念撮影に夢中になっていて、一日中、原宿・竹下通りのようなにぎわいで人通りが絶えない。

欧風建築に囲まれたセナド広場。噴水の近くには自然と人が集まってくる=いずれも中国・マカオで

欧風建築に囲まれたセナド広場。噴水の近くには自然と人が集まってくる=いずれも中国・マカオで

 のどの渇きを癒やそうと広場に近い、スイーツで有名な「義順牛●公司(イーソンガウナイコンシー)」を訪ねると、観光客で満席だった。実はこちらが支店だが、約10分離れた本店に向かうと、全く客がいなかった。意外な穴場だった。

 看板メニューの牛乳プリン(25パタカ。1パタカ=約16円換算で約400円)は甘さ控えめ。それでも、しっかりと牛乳の味がしておいしい。渇いたのどを潤してくれた。

 長崎にカステラを伝えたとされるマカオでは、ポルトガル由来の焼き菓子も人気がある。中でもエッグタルトはたいていのベーカリーで扱われるほどポピュラーな存在。手のひらサイズなので食べ比べが楽しめる。

 街灯に花籠が2つずつ下がった通りは女性誌の挿絵のようで、自然と散策の足取りも軽くなる。一方で、アパートの窓のさびた鉄格子から洗濯物がはみ出すようなアジアらしい光景もここでは珍しくない。そしてその傾向は半島北部の中国本土に近づくほど濃くなっていく。

 庶民の台所の「紅街市(ホンガイスィ)」と周辺の屋台街は、豊富な食材と衣料品、日用品が所狭しと並び、売り子の声がにぎやかに響く。昔ながらの住民の暮らしをのぞきたいのであれば、ここを訪ねれば間違いない。

 新旧の文化と東西の文化が絶妙にすみ分けるマカオ。どちらの旅の魅力もと望む欲張りな女性にぴったりな街だ。
 文・写真 木口慎子

 ※●は女へんに乃

(2015年6月12日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
マカオへは成田、関西の両空港から直行便があるが、隣接の香港へは羽田、成田、中部空港などからキャセイ航空をはじめとする定期便があり、香港経由の旅行者も多い。

◆問い合わせ
マカオ観光局=電03(5275)2537。
同局の日本語ホームページも情報が充実している。

おすすめ

マカオタワー1階にある「トロンバ・リージャ」

マカオタワー1階にある「トロンバ・リージャ」

★ポルトガル料理
日本では専門店が少ないポルトガル料理を試すならビュッフェ形式の店がお薦め。
ムール貝やタラなどの魚介がふんだんで、赤いパプリカや緑のオリーブなど見た目にも楽しい。
マカオタワー1階にある「トロンバ・リージャ」はランチタイムは平日218パタカ、
土日祝日が350パタカ。

★コロアン
マカオ南部に位置する。
今は陸続きだが、島だった当時を思わせるのんびりとした雰囲気の海辺の町。
中心部にある有名店「ロード・ストーズ・ベーカリー」のエッグタルト(8パタカ)をほおばりながらの散策も。

★カレーおでん
セナド広場近くの大堂巷に専門店が並ぶ。
屋台形式で、店頭に並べられた野菜や具材を客自身がボウルに集めたものを、
店の人が目の前でゆで上げてくれる。
カレーソースの辛さは3種類あるが、やや辛め。
丸い揚げ物や黄色いしまの入ったウニ入りの練り物など、珍しい具材を試す楽しみも。
1串3~7パタカ。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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