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全羅南道・潭陽

全羅南道・潭陽 韓国 心洗う竹林や並木道

涼しげな風が竹林から流れてくる。癒やしを求めに多くの人が訪れる竹緑苑
涼しげな風が竹林から流れてくる。癒やしを求めに多くの人が訪れる竹緑苑

 薄緑色の竹林から、ひんやりとした風が来る。ここは韓国南部、全羅南道の潭陽(タミャン)郡にある竹緑苑。広大な竹林に、起伏のあるいくつかの散策路や、さまざまな形のあずまやが設けられ、家族連れやカップルが「竹林浴」を楽しんでいる。

 「涼しくて気持ちがいいでしょう。潭陽では1000年も前から、村人が集まって竹を植えてきたんです。森林浴はどこでもできますが、竹林浴はここでしかできません」と案内人の金恵淑さんが言う。「竹の葉から落ちる露で育つお茶の木も自生していて、竹露茶といいます」

 竹林に囲まれたあずまやは、風流な文化がつくられる場所。朝鮮王朝時代、独特の詩歌や書が、こうした環境で生まれた。

 韓国全土の竹林のうち34%が潭陽郡にある。潭陽の竹は目いっぱい利用される。工芸品を作る名人が多く住み、常設の竹市場もある。竹緑苑の外には工芸品を売る店が並んでいた。

 この竹ずくめの町で、竹料理を味わった。もっちりしたご飯にほんのりと竹の香りがつき、木の実も入った「竹筒飯」は、豊かな自然の恵みが感じられる。竹を使った薬酒「竹葉酒」やタケノコ料理もこの地方ならではの味わい。名物「トッカルビ」は、牛肉と豚肉のひき肉をハンバーグ状にした炭火焼き料理。軟らかくて食べやすい。

竹筒飯やタケノコ料理が並ぶ潭陽の食事。ハンバーグのようなトッカルビも名物
竹筒飯やタケノコ料理が並ぶ潭陽の食事。ハンバーグのようなトッカルビも名物

 ここで今年9月17日から10月31日まで「世界竹博覧会」が開かれる。「竹の森で見つけた緑色の未来」をテーマに、強い成長力を持つ竹の可能性を追求し、竹への関心を世界的に高めたいという。竹緑苑が屋根のないテーマ館となり、さらに生態館、歴史館、科学館などが設けられる予定だ。

 潭陽の副郡守・李基煥さんは「日本からたくさんの人が来てほしい。潭陽は、自然と調和したスローシティーとして人気が高まっているんです。竹緑苑の他にも、いいところがたくさんあり、潭陽十景というのが選定されています」と話す。

 その1つがメタセコイアの並木道だ。約2キロにわたって、数100本の大樹が道路に覆いかぶさるように並んでいた。10数年前には道路拡張に伴い伐採の危機にあったが、住民の保存活動で救われた。東洋らしからぬ風景が、テレビドラマやバラエティー番組の舞台として用いられ、有名になった。最近は舗装がはがされ、自然度がアップ。四季おりおりの色彩を楽しめる。

 「ここでポーズ」「一緒に撮ろうよ」。カップルのツーショットに格好のスポットだ。

四季折々の表情を見せるメタセコイアの並木=いずれも韓国の全羅南道・潭陽で
四季折々の表情を見せるメタセコイアの並木=いずれも韓国の全羅南道・潭陽で

 潭陽からバスで40分、全羅南道最大の都市光州に出る。ここには「キムチタウン」があって、キムチのことが何でも分かる。全羅南道のキムチは、ソウルに比べ、味が濃く辛みも強い。海藻や塩辛を使ったキムチもあり、いろいろ味見した。その場では「さほど辛くないな」と思っても、しばらくたってツーンとした辛みが来たりする。

 さらに光州の街で強烈な食べ物に出合った。「これは魚のエイです。食べるとエーとなるでしょう」と案内人に言われ、こわごわ手を出した。外見はピンク色の普通の切り身。しかし鼻を突くアンモニアのにおいがする。清水の舞台から飛び降りる気持ちで、キムチと一緒に口の中に入れると、アンモニア臭が何となく高貴な香りに変わる。不思議だ。全羅南道独特のおもてなし用高級食材なのだという。

 韓国の強い地域性を痛いほど感じる旅となった。

 文・写真 吉田薫

(2015年6月26日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
ソウルの金浦空港や仁川国際空港へは、羽田、成田、中部などの各空港から定期便がある。

◆問い合わせ
韓国観光公社の日本語ホームページで最新の情報が得られる。
公社東京支社=電03(5369)1755、
名古屋支社=電052(223)3211

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韓国高速鉄道(KTX)湖南線

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ソウルから全羅南道へは今年4月に開通したKTXが便利。
ソウル中心部の龍山駅から光州松汀駅まで約300キロを約1時間40分で走る。
最高時速は300キロ。KTXの車両は当初、フランスTGVの技術を導入して製造された。
最近の車両は韓国の技術で造られているという。
日本の新幹線は電車だが、韓国は先頭と最後尾の機関車で客車をはさんで運行する。

★古都・扶余(プヨ)
大和朝廷と関係の深かった古代王国・百済。
その最後の都があったのが忠清南道の扶余だ。
当時の建物は石塔が残っているだけだが、
百済文化団地というテーマパークで壮麗な王都が再現されている。
東大寺と法隆寺が一緒になったような巨大さに驚く。
実際、五重塔は法隆寺の塔を参考にしたという。
扶余はソウルと光州の間に位置し、ソウルからは直通バスが便利だ。

百済文化団地

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