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佐渡島

佐渡島 新潟県 殿様気分のたらい舟

たらい舟は沿岸での貝採り漁などだけでなく、観光用にも利用されている。乗り心地は悪くない=新潟県佐渡市小木の景勝地「矢島・経島」で

たらい舟は沿岸での貝採り漁などだけでなく、観光用にも利用されている。乗り心地は悪くない=新潟県佐渡市小木の景勝地「矢島・経島」で

 腰をかがめて、そーっと乗れば良かったのだが、うっかりしていた。たらい舟の底に足を下ろした瞬間、バランスを崩し、危うく海に落ちそうになった。舟の中央部に腰を下ろし、不安そうな顔をしていると、かすり模様の上着に鳥追笠(とりおいがさ)の女性の船頭さんが「ここで転覆したことはありません。安心してくださいね」とやさしく声を掛けてくれた。
 
 大きなおけの、上半分を切り取ったような形をしているたらい舟は、船底の長径が1.5メートルほど。舟のサイズに応じ、大人なら5人程度まで乗れる。櫂(かい)を使って進むのだが、ベテランがこいでも、よちよち歩きの幼児に負けるほど。波静かな入り江を200メートルほど進むのに10分余りかかった。だが乗り心地は悪くない。透き通った海、かなたに新潟県の山並みを望みながら、ゆーらゆら。しばし殿様気分を味わった。
 
 佐渡島は、新潟港の西方約60キロに位置している。人口は6万人弱だが南北約60キロ、東西約33キロもある国内最大級の離島だ。たらい舟は、小木港と近くの景勝地「矢島・経島」で体験乗船できる。「矢島・経島」では、船底の中央に海中がのぞけるようガラス板がはめこまれている。小学生がタコを見つけ、船頭さんに捕まえてもらったこともあるそうだ。

佐渡島は能が盛ん。春から秋にかけて各地で能が上演される=佐渡市の椎崎諏訪神社能舞台で

佐渡島は能が盛ん。春から秋にかけて各地で能が上演される=佐渡市の椎崎諏訪神社能舞台で

 江戸時代は幕府の直轄領。多くの金銀を産出し、経済的に豊かだったこともあり能楽も盛んだった。佐渡宝生流という地元の流派もあり、島内の多くの神社には能舞台が併設されている。今も、春から秋にかけては伝統行事として、そして観光客向けに能が上演されている。
 
 うまい具合に両津港近くの椎崎(しいざき)諏訪神社で薪能の上演があり、立ち寄った。午後7時半開演なのに、1時間ほど前から人が集まり始め、300人ほどになった。演目は「杜若(かきつばた)」。諸国を巡る僧が、カキツバタの精の美しい女人と出会い、奔放な恋愛遍歴を重ねたとされる在原業平の行状をからめてやりとりするストーリー。
 
 シテを務めたのは、元銀行員で佐渡宝生流師範の石山勝秋さん(69)=新潟市在住。ほかにワキや地謡などに10人余りが登場する本格的な舞台だ。「熱心なファンもおられるので気は抜けません。今までの蓄積が、自然に演じられるよう心掛けています」と石山さん。始まる前の火入れは、地元の女性がみこ姿で担当した。2回目という斎藤真帆さん(19)は、「伝統ある行事なので、しっかり役目を果たさないと」と緊張気味だったが、無事に終え、ほっとしていた。

佐渡西三川ゴールドパークでは、入場料を支払うと30分間、砂金が取り放題=佐渡市西三川で

佐渡西三川ゴールドパークでは、入場料を支払うと30分間、砂金が取り放題=佐渡市西三川で

 もう1つ、どうしても体験したかったのが砂金取り。上杉謙信が軍資金の調達に使った西三川砂金山跡の下流にある「佐渡西三川ゴールドパーク」へ向かった。ここでは自然河川で行う上級と人工河川で行う中級など3種類のコースがあり、入場料(大人800円)を支払うと30分間、砂金が取り放題となる。「ようーし、俺も億万長者に」と勢い込んでみたものの、手にしたのは、長さ3ミリにも満たない小片が2個だけ。がっかりしているとガイドの女性に「25個取った小学生もいます。また来てくださいね」と慰められた。

 一時、トキが絶滅した佐渡島では、中国からつがいを譲り受け中央部の「佐渡トキ保護センター」で繁殖飼育をしている。取り組みには周辺の農家も協力。農薬と肥料の使用を従来の半分以下に抑えたところ、えさになるカエルや昆虫が増え、センターの飼育数は110羽余りに。放鳥した自然界では150羽を超えるまでになった。減農薬で育てた米はブランド米として高く売れるようになり、農家もほくほく。人間とトキとの共生社会ができつつあった。

 文・写真 富永賢治

(2015年7月31日 夕刊)

メモ

地図

◆交通 
佐渡島へは、新潟港から両津港へ、直江津港からは小木港へ、寺泊港からは赤泊港へ佐渡汽船の高速船やフェリーが出ている。
新潟空港へは、成田、中部国際、名古屋などの各空港からの定期便がある。
空港から新潟港までは、バスを乗り継いで約1時間、タクシーだと約20分。島内の移動には事前予約のレンタカーが便利。

◆問い合わせ
佐渡汽船=ナビダイヤル(0570)200310、佐渡観光協会=電0259(27)5000

おすすめ

刺し身定食

刺し身定食

★たらい舟
船外機を付け、今も沿岸での貝漁などに使われている。小木港の力屋観光汽船(年中無休)=電0259(86)3153=と、「矢島・経島」の矢島体験交流館(4~10月)=電0259(86)2992=が観光客向けの体験乗船をしている。乗船料は、いずれも大人500円。
 
★トキふれあいプラザ 
隣接する佐渡トキ保護センターで飼育されているトキが間近で観察できる。入場には環境保全協力費として高校生以上400円、小中学生100円が必要。午前8時半から午後5時まで。年末年始と12~2月の月曜休館。電0259(22)4123
 
★新鮮な魚介
島内では、四季を通じて新鮮な魚介が取れ、手頃な値段で味わえる。近海マグロやブリ、タイ、真イカなどを盛り合わせた刺し身定食も1500円前後で食べられる。
 
★史跡・佐渡金山
坑内の気温は、年間を通じて10度前後。コースにより入場料が異なり大人900~2400円。4~10月は午前8時から午後5時半まで、11~3月は午前8時半から午後5時まで。年中無休。電0259(74)2389

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