【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. 大陸への玄関口・敦賀
大陸への玄関口・敦賀

大陸への玄関口・敦賀 福井県 繁栄を物語る鉄道遺産

敦賀港東側に2棟並んで立つ赤レンガ倉庫。手前のレストラン館では地元産の食材が味わえる

敦賀港東側に2棟並んで立つ赤レンガ倉庫。手前のレストラン館では地元産の食材が味わえる

 パリに行くにも、ロンドンに行くにも、昔はみんな敦賀から-。

 福井県敦賀市は古代から国内の物流拠点、大陸への玄関口として繁栄。明治から昭和初期にかけて、日本海航路を経てヨーロッパにつながる「欧亜国際連絡列車」の発着駅だった。当時の建物や鉄道遺産が多く残る。

古き良き国際都市・敦賀の町並みを巨大ジオラマと映像で再現=赤レンガ倉庫ジオラマ館で

古き良き国際都市・敦賀の町並みを巨大ジオラマと映像で再現=赤レンガ倉庫ジオラマ館で

 まずは敦賀港を目指した。港の東側に2棟並ぶ赤レンガ倉庫は、外国人技師の設計により1905(明治38)年に石油貯蔵庫として建てられたもの。今年10月、北棟が「ジオラマ館」、南棟が「レストラン館」としてオープンした。

 ジオラマ館では、かつての国際都市の町並みや、険しい山間部克服のための鉄道技術などを再現。鉄道模型を運転し、ループ線やスイッチバックを体験することができる。運転したSLがぴたりと駅に停車すると、童心に帰ったようにうれしい。

 他にも旧敦賀港駅舎を再現した「敦賀鉄道資料館」や、列車のカンテラ燃料を保存した鉄道建築では現存最古級といわれる「ランプ小屋」など、鉄道ファン必見の鉄道遺産が徒歩数分のところに集まっていた。

旧北陸線トンネル群の入り口・樫曲トンネル。ボランティアガイドの増田正樹さん(左)の案内で進む=いずれも福井県敦賀市で

旧北陸線トンネル群の入り口・樫曲トンネル。ボランティアガイドの増田正樹さん(左)の案内で進む=いずれも福井県敦賀市で

 ボランティアガイドの増田正樹さん(63)に案内をお願いして「山間部を克服」した鉄道技術のひとつ、旧北陸線トンネル群へ向かった。急勾配の難所・木ノ芽峠を避け、迂回(うかい)して明治に造られた。1962(昭和37)年、北陸トンネルが開通するまで使われていた。現在、樫曲(かしまがり)トンネルなど、11カ所が残されている。

 増田さんは「工事した人、灼熱(しゃくねつ)地獄の機関士、酷寒の中でつららを落として歩いた保線員…先人たちの苦労を多くの人に知ってほしい」と話す。トンネルごとに違う、れんがや石の積み方も見どころ。

敦賀城にあった大谷吉継ゆかりの腰高障子。「吉継が敗戦を覚悟して預けたのでは」と話す澤井登志美さん(中)=来迎寺で

敦賀城にあった大谷吉継ゆかりの腰高障子。「吉継が敗戦を覚悟して預けたのでは」と話す澤井登志美さん(中)=来迎寺で

 今回の旅のもうひとつの目的が大谷吉継(よしつぐ)の足跡巡り。石田三成の盟友として、関ケ原の戦いで散った戦国時代の知将。敦賀は吉継の領地だった。

 吉継が居城としていた敦賀城は市街地化でほとんど残っていない。西小学校に近年建てられた城跡の案内碑がある。来迎寺の山門は城から移築された中門。書院の腰高障子は城内にあったものとされ、吉継が関ケ原の前に寺に預けたものと伝えられる。来迎寺の澤井登志美さん(59)は「敗戦を覚悟の上の出陣だったのでしょう」と語る。吉継の人柄をしのぶ貴重な文化財だ。

 吉継についてもっと知りたい。そう思って訪れたのが、市立博物館隣にある、みなとつるが山車(やま)会館。入ると大きな吉継の武者人形がお出迎え。別館には吉継を紹介するコーナーがあり、「吉継さまへの恋文ノート」には女性の名前がびっしり。吉継の“歴女”人気がうかがえる。

 赤レンガ倉庫北にある小高い丘が金ケ崎城跡。織田信長と越前朝倉氏の「金ケ崎の戦い」の舞台になった。夫・浅井長政の裏切りにより、朝倉・浅井両軍に挟まれたことを知らせるため、お市の方は兄・信長に小豆を入れ両方を縛った「小豆袋」を送る。袋のねずみと気付いた信長は脱出に成功、京都に逃げることができた。中腹にある金崎宮(かねがさきぐう)で小豆袋を再現した「難関突破守」を手に入れた。厳しい状況の時、守ってくれると信じて。

 城跡からは市街がよく見える。明治から昭和にかけて汽車がひっきりなしに敦賀港の駅に到着し、いろいろな夢を持った人が大陸に向けて出港していったことだろう。赤レンガ倉庫で見たジオラマと景色がシンクロして見えた。 文・写真 須藤英治

(2015年12月25日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
敦賀へは東海道新幹線米原駅で特急に乗り換え、約30分。
市内観光は「ぐるっと敦賀周遊バス」が便利。
1日券500円。

◆問い合わせ
敦賀市観光・交流振興課=電0770(22)8128。
敦賀観光協会=電0770(22)8167。
旧北陸線については福井県観光振興課=電0776(20)0380

おすすめ

ソースカツ丼

ソースカツ丼
おぼろ昆布

おぼろ昆布

★ソースカツ丼
甘みのある特製ソースと、カツの相性が抜群。
メンチカツ版の「パリ丼」やお子さまランチもある。
欧風の建物も必見。
カツ丼セットがお得。
1080円。
敦賀ヨーロッパ軒本店=電0770(22)1468

★人道の港敦賀ムゼウム
ロシア革命でのポーランド孤児や、第2次世界大戦中に杉原千畝氏が発給した「命のビザ」を持ったユダヤ人難民が上陸した敦賀。
「命と平和」について発信。
「欧亜国際連絡列車」についての資料も。
展示協力金100円。
電0770(37)1035

★おぼろ昆布
全国シェアの8割以上が敦賀産。
江戸時代、北海道の昆布が北前船の寄港地・敦賀で「おぼろ昆布」として加工され、関西へ。
機械で削る「とろろ昆布」と違い、おぼろ昆布は手作業。
透き通るほど薄く削るのが熟練の技。

北陸の宿泊情報

一覧

    現在この情報はありません。

北陸のツアー情報

一覧

    現在この情報はありません。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

旅コラム
国内
海外