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アルザスの旧市街

アルザスの旧市街 フランス おとぎ話の世界広がる

見ているだけで楽しい店の看板=コルマール、ストラスブールで

見ているだけで楽しい店の看板=コルマール、ストラスブールで

 フランスの東端、ドイツと国境を接するアルザス地方には、両国の影響を受けた美しい旧市街が点在する。最初に訪れたコルマールは、ジブリ映画「ハウルの動く城」で主人公が暮らす街のモデルとして知られる。

 観光客でにぎわう石畳の道を歩くと、動物や食べ物が描かれたつり看板に目を引かれる。甘い匂いの先には、実演販売のクレープ店や手のひらより大きなジンジャークッキーを売るお店がある。ピエロにふんした大道芸人がたたずむなど、おとぎ話の世界がどんどん広がる。

 特にかわいらしいのが、16~17世紀に造られた古い家々だ。ピンクや水色のパステルカラーの壁に、寄せ木細工のような木の枠組みがあるのが大きな特徴だ。ガイド役でJTBの西田真奈美さんによると、ドイツでもよく見られる伝統建築「木骨造(もっこつぞう)(コロンバージュ)」というそうだ。アラサーの記者は少女気分で、あの尖塔(せんとう)がある家の屋根裏部屋に住んで、朝は隣のマーケットへ果物を買いに行って…と妄想は尽きない。

パステルカラーの家々の間を運河が流れる「プチ・ベニス」=コルマールで

パステルカラーの家々の間を運河が流れる「プチ・ベニス」=コルマールで

 旧市街は半径500メートル内に集中し、一番の見どころは「プチ・ベニス」と呼ばれるイタリア風の運河が流れる一画だ。訪れたのは肌寒い2月上旬の雨曇りで、川面も暗く濁っていたが、観光案内所の女性から「ベストシーズンの4~9月には、町中が花で彩られてもっときれいよ」と聞くと、また訪れたくなった。

 
名産のアルザスワインを提供する店員=リクビルで

名産のアルザスワインを提供する店員=リクビルで

 その後、車で約20分、「ブドウ畑の真珠」と呼ばれる村リクビルへ移動した。一面の緑色にぽっかり浮かぶ赤い三角屋根の一群は、風景画のようだ。雨が本降りになってきたので、名産のアルザスワインの店へ飛び込んだ。ボトル販売とグラスでの提供のどちらもやっており、若い女性店員にお薦めを聞くと「ブドウの品種によって軽さや味わいが違うから、お好みで」とクールな対応。リースリング、ピノ・グリ…。メニューを見ても、普段はハイボール党なので、全くぴんとこない。唯一なじみのある「マスカット」を注文してみた。

 まず、生の果実そのものの強い香りに驚いた。辛口なのにすっとのどを通る。地物だと思うと余計おいしい気がする。先客のフランス人カップルは、試飲グラスを7つも8つも並べている。まねをして発泡ワインを試飲させてもらい、ほろ酔いで店を後にした。

 
街のシンボルとして親しまれているノートルダム大聖堂=ストラスブールで

街のシンボルとして親しまれているノートルダム大聖堂=ストラスブールで

 翌日訪れたストラスブールは、ライン川の支流に囲まれた巨大な中州のような区画全体が、世界遺産に登録されている。こぢんまりした観光地のコルマールに比べ、川と古い街、そして人々の生活がより溶け合っているように感じられた。川には白鳥が泳ぎ、石造りの橋ではジョギングする市民と何人もすれ違った。

 街のシンボル、ノートルダム大聖堂は30~40階建てビルに匹敵する高さ142メートル。1176年の着工から、完成まで260年以上もかかったというのも納得の存在感だ。有名なからくり時計の仕掛けが動く時間には合わなかったが、塔の展望台に上ってみた。らせん階段をひたすらぐるぐると332段。日ごろの運動不足がたたり、息も絶え絶えでたどり着くと、360度街を見渡せる絶景に疲れも吹き飛んだ。

 パリから遠く離れたこの地方でも、大聖堂は自動小銃を持った軍人が警備しており、昨年11月に起きたテロの悲劇を思い起こさせた。コルマールもストラスブールも、第二次世界大戦の激戦地アルザスにありながら戦禍を免れたという。眼下の街並みはより美しく、尊く映った。

文・写真 細見春萌

(2016年4月1日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
羽田、成田、関西の各空港からパリのシャルル・ドゴール空港まで直行便で約12時間。
パリ東駅から高速鉄道(TGV)で、ストラスブール駅まで2時間20分、コルマール駅までは2時間50分。

◆観光情報 
インターネットで「フランス観光開発機構」を検索。
公式日本語ホームページで、見どころやイベントを紹介している。
ツアー情報はJTB(中部発)=電052(715)5013=など。

おすすめ

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自転車

★料理 
代表は塩漬け発酵させたキャベツを白ワインで煮込み、ソーセージなどを盛り合わせた「シュークルート」。

★レンタサイクル 
ストラスブールでは、500キロ以上の自転車専用道が整備され、観光にも便利。
駅前など各所で自転車を借りることができる。

★遊覧船 
ストラスブールの観光スポットを70分で巡る。日本語のイヤホンガイド付き。
コルマールでも小さなボートで30分の運河巡りが楽しめる。

★ロアン宮
18世紀にストラスブール司教ロアンの宮殿だった建物で、現在は二つの博物館と一つの美術館になっている。

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※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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