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ボホール島

ボホール島 フィリピン 連なる丘に巨人伝説

小高い丘が連なるチョコレート・ヒルズ。降水量が減る3~5月に丘は茶色になる

小高い丘が連なるチョコレート・ヒルズ。降水量が減る3~5月に丘は茶色になる

 見上げるとひっくり返りそうに急な石段を220段上る。気温30度、湿度80%の暑さにひるむ。展望台にたどり着いて息を整え、頭を抑えつける強烈な日差しに負けず視線を上げた。ポコリポコリポコリ。四方八方に見渡す限り丘は連なる。

 フィリピンのセブ島から南に約30キロ離れたボホール島にチョコレート・ヒルズがある。降水量が減る3~5月に丘の草が枯れてチョコレート色になるという。訪れたのは11月で、丘はまだ緑色だった。甘そうな名に反して土壌は塩分を含んで硬く、高い木が育たない。それが美しい輪郭を保つ。

 フィリピン政府観光省によると丘は高さ約30メートルとほぼそろい、1776個ある。世界遺産登録を目指し、暫定リストに入っている。形成過程は諸説あるが、大昔、海底だった島はサンゴ礁による石灰岩で、はるかな年月の地形変動や雨風の浸食を重ねた末の神秘といわれる。巨人のけんか跡とか、悲恋の涙の結晶という伝説もある。

世界最小とされるメガネザル「ターシャ」

世界最小とされるメガネザル「ターシャ」

 奇妙にも幻想的にも映り、愛知県江南市から訪れた薬局店店長の高野良昭さん(41)と絵美さん(34)夫妻は「ただの丘と思って来たが想像以上に不思議。すてきですね」と声を弾ませた。

 スケールの大きな奇観の足元には、世界最小とされるメガネザル「ターシャ」の保護センターがある。成長しても体長約10センチ、大人の手のひらほどだ。大きな目が顔の3分の1を占める。夜行性で昼間は葉っぱの陰に隠れ、夜になると動きまわりコオロギやセミを食べる。写真撮影は可能だがフラッシュは厳禁だ。ストレスに弱く、ショックを受けると木に頭をぶつけて自殺を図るという。

 
バンブーダンスで歓迎する住民たち=いずれもフィリピン・ボホール島で

バンブーダンスで歓迎する住民たち=いずれもフィリピン・ボホール島で

 島にはロボック川が流れ、観光屋形船でランチクルージングも楽しめる。ココナツやシダ科の植物が茂る密林をゆったり縫うように往復する。フィリピン料理のバイキングが人気だ。1時間ほどの船旅の途中、住民ボランティアが2本の竹を使った軽快なバンブーダンスで歓迎してくれる。

フィリピンで2番目に古いバクラヨン教会

フィリピンで2番目に古いバクラヨン教会

 ボホール島ガイドのマリア・セシリアさん(50)によると、東南アジア唯一のキリスト教国フィリピンで、島民はとても信心深い。国内2番目に古いバクラヨン教会が開かれ、建物は築200年以上になる。そして隣のセブ島は航海者マゼランが上陸して、1521年に十字架を立てた信仰発祥の地だ。

 古い教会は石灰岩のブロックを卵白で接着して建てた。簡素ながら白く美しい外観が、真っすぐな信仰心をうかがわせる。

 2013年10月のマグニチュード(M)7を超える地震でボホール島は大きな被害を受けた。数々の教会が揺れに耐えられず全半壊し、住民は胸を痛めた。観光客の足が遠のいたことが、悲しみに拍車を掛けた。

 それから3年。「被害は修復しきれていませんが、観光客も戻りつつあって、明るくなってきています」とマリアさん。名前はもちろん聖母にちなむ。

 ボホール島と橋続きの土地では日本の政府開発援助(ODA)による空港建設が進む。18年開港を目指している。日本からの直行便が就航し、巨人伝説の丘が世界遺産になれば、観光客はもっと増えるだろう。島に5人しかいない日本語ガイドのマリアさんは「2年後にまた会いましょう。ぜひ5月に来てね。神様に感謝して誰でもタダでご飯食べ放題のお祭りがあるのよ」と人懐っこく笑った。

 チョコレート・ヒルズと豊かな自然と信仰の島。ゆっくり味わえるのは、いまのうちかもしれない。

 文・写真 上田真也

(2016年12月16日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
セブ島と中部国際空港を約4時間半で結ぶフィリピン航空の定期直行便(週3便)は12月で就航2年。
同社は成田空港からも1日2便運航している。
ボホール島へはさらに高速フェリーで2時間弱かかる。
セブ島からの日帰りツアーの利用が一般的。

◆支払い
各ツアーの際は飲み物などの支払いのため50ペソ以下の小額紙幣を多めに準備した方がいい。
100ペソ以上の紙幣はお釣りが出ないことがよくある。

◆問い合わせ
フィリピン政府観光省東京支局=電03(5562)1583

おすすめ

チキン・カルデレータ

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★料理
酸味が強く甘めの味付け。
最もよく食べるのは豚肉で串焼きや煮物、炒め物など多彩。
丸焼きは祝い事や祭りに欠かせない。
次に多いのが鶏肉。
チキン・カルデレータは野菜とともにスパイスの効いたトマトソースで煮込んだフィリピン風シチュー。

★マリンレジャー
ボホール島とセブ島はダイビングスポットに恵まれ、いたるところでシュノーケリングも楽しめる。
社員旅行で同僚と訪れた西田朱里さん(27)=岐阜県美濃加茂市=は「奇麗な海に青や黄色の美しい魚がたくさん見えて感動しました」。
アイランドピクニックツアーが人気で、ターコイズブルーの海をバンカーボートに乗って離島に行き、手軽に潜ったりバーベキューが楽しめたりする。

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※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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