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宮古島

宮古島 沖縄県 時忘れる東洋一の浜

「東洋一美しい」とも称される与那覇前浜ビーチ=沖縄県宮古島市で

「東洋一美しい」とも称される与那覇前浜ビーチ

 白い砂浜を男女が語り合いながらゆっくりと歩き、エメラルドグリーンの海では水上バイクに引かれたゴムボートで滑走する若い女性の歓声が響く。「東洋一美しい」と称される宮古島(沖縄県宮古島市)の与那覇前浜ビーチ。4月2日の海開きを前に早くもビキニ姿の外国人女性は日光浴や写真撮影を楽しんでいた。

 沖縄本島から南西に310キロ離れた亜熱帯の島。6月に中部国際空港との直行便が就航すると聞いて興味を持ち、3月半ばに訪れた。到着して真っ先に向かった与那覇前浜ビーチで一通り写真を撮って日陰のベンチで休んでいると、穏やかな波音や気持ち良い風に心安らぎ、目を閉じる。気付いたら1時間近くたっていた。

 後ろ髪を引かれる思いで腰を上げ、中心市街地にある観光協会へ。職員の瑞慶覧(ずけらん)周平さん(30)が笑顔で出迎えてくれた。地元の旅行会社が主催するイベント「亜熱帯の森さんぽ」が夕方にあると聞き、「参加したい」とお願いすると手際良く手配してくれた。

観光客に地元の動植物を紹介する岡徹さん(右)

観光客に地元の動植物を紹介する岡徹さん(右)

 4キロほど離れた森で待っていたのは地元の自然に詳しい元高校教諭でガイドの岡徹さん(64)。歩き始めてほどなく、「何か聞こえませんか」。耳を澄ますと「ホー、ホー」と鳴き声がする。「これは国の天然記念物のリュウキュウキンバト。宮古島が分布の北限とされ、沖縄本島にもいないんです」

 続いて聞こえてきたのは「ミャー」の鳴き声。「ネコかな」と思っていると、「クジャクです」。宮古島では観賞用で持ち込まれたインドクジャクが逃げて野生化している。農作物への被害が大きく有害鳥獣として捕獲が進められているとか。「羽を広げた優雅なイメージが強いけど、敏しょうでなかなか捕まえられません」。キジムナーと呼ばれる妖精が宿るという樹木ガジュマルに触れたり、枝からぶら下がるオオコウモリに出合ったりと2時間の散策はあっという間だった。すっかり暗くなった空を見上げると、星が一面に輝いていた。

洞窟を活用した泡盛の貯蔵庫。かめに入った泡盛が熟成を待つ=沖縄県宮古島市で

洞窟を活用した泡盛の貯蔵庫。かめに入った泡盛が熟成を待つ=いずれも沖縄県宮古島市で

 翌日は、瑞慶覧さんの案内で島を巡った。東端にある国指定の名勝、東平安名崎(ひがしへんなざき)は、2キロほど続く切り立った崖が雄大だった。沖縄といえば泡盛ということで、酒造会社「多良川」にも立ち寄った。本社近くにある天然の洞窟を活用した貯蔵庫では、顧客から預かった4000個近いかめなどが静かに熟成を待っていた。熟成には温度が一定の場所が望ましく、日光の届かない洞窟が適しているとか。歳月を重ねるほど深みを増し、古酒(クース)に育つという。

 日が傾きかけたころ、最後に訪れたのは前日にも来た与那覇前浜ビーチ。水平線に沈みかけた太陽に照らされてオレンジ色になった海は、前日に見た景色とは異なる趣。「昼間のエメラルドグリーンの海もいいけど、夕方はまた格別でしょう」。瑞慶覧さんが自慢げに笑った。

 取材最終日、ぜひ会いたかった人がいた。初日に参加した「亜熱帯の森さんぽ」を催す旅行会社プラネット・フォー社長の中村良三さん(54)だ。ほかにも水揚げしたばかりのカツオなどをさばいたり、漁師町を散策しながら一般民家を訪ねて談笑したりする体験イベントを仕掛ける。「島の日常に触れてもらいたいんです」

 中村さんは大阪府の出身。子どもが独立したのを機に2年前に移住した。町づくりのコンサルタントをしていた際、特産品開発などに携わったことで宮古島に心酔した。沖縄本島や他の離島と違って観光地化されすぎず、素朴さが残っているといい、「マイペースで楽しめるのがいいところです」と話していた。

 文・写真 諏訪慧

(2017年3月31日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
羽田空港から直行便で約3時間。
中部国際空港からは那覇経由で乗り継ぎを含め約4時間。
中部国際空港からの直行便は6月17日に就航し、所要時間は約2時間半。
10月28日まで1日1往復で、それ以降は需要を踏まえて検討する。

◆問い合わせ
宮古島観光協会=電0980(73)1881

おすすめ

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ケーズ・ピット・ダイナーの宮古牛バーガー

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★プラネット・フォーの体験イベント
「ひとときさんぽ」の名称で実施。
亜熱帯の森さんぽや漁師町散策のほか、カニ漁ツアーなど10種類余り。
詳しくはホームページで。
「ひとときさんぽ」で検索。
電0980(73)7311

★宮古島市総合博物館
歴史や風土を紹介している。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を目指す「パーントゥ」の展示もある。
パーントゥは住民が全身に泥を塗って草を巻き付け、厄払いのため見物客らに泥を塗り付ける伝統行事。
月曜、祝日は休館。
一般300円、高校・大学生200円、小中学生100円。
電0980(73)0567

★ケーズ・ピット・ダイナーの宮古牛バーガー
地元の宮古牛100%で、かぶりつくと肉汁がしたたる。
店主の長嶺拓也さん(36)は名古屋や東京のハンバーガー店で修業し、
1年前に郷里で店を開いた。
1個1000円。
長嶺さん=電090(1821)1098

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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