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明日香村

明日香村 奈良県 体験館で古代人気分

展示室に入ってすぐ左に原寸大のキトラ古墳の石室模型。右奥に頭上の天文図と四面マルチ精細映像の一部が見える=奈良県明日香村のキトラ古墳壁画体験館 四神の館で

展示室に入ってすぐ左に原寸大のキトラ古墳の石室模型。右奥に頭上の天文図と四面マルチ精細映像の一部が見える=奈良県明日香村のキトラ古墳壁画体験館 四神の館で

 古代ロマンの地といえば、奈良県明日香村が思い浮かぶ。6世紀末から8世紀初めにかけ、飛鳥時代の政治や文化の中心になったところ。石舞台古墳や高松塚古墳の壁画など、歴史好きだけでなく、多くの旅人の心をとらえてきた。その中で今、脚光を浴びているのが昨年秋開設された国営飛鳥歴史公園「キトラ古墳壁画体験館 四神(しじん)の館(やかた)」などキトラ古墳周辺地区だ。

 近鉄飛鳥駅を出てバスで5分ほど。古墳のある山の斜面に、四神の館が設けられている。広々とした田園風景の中に、国の特別史跡キトラ古墳が周囲の自然環境とともに保存されている。「もともとの地形を生かし、村と一体的に整備されています」と案内してくれた同公園飛鳥管理センターの奥村典康さん(44)が言った。

 まずは半地下のような入り口から建物内に入る。入館は無料だ。入ったところが地下1階で展示室がある。

 すぐ左手に原寸大のキトラ古墳の石室模型。幅約1メートル、高さ1.2メートル、奥行き約2.4メートルの内部。正面の北壁に、亀に蛇が絡みついた姿の玄武、右面の東壁に青竜、左面の西壁に白虎(びゃっこ)、手前に開いた南壁に朱雀(すざく)の四神が描かれている。四神は古代中国の思想に基づき、天の四方をつかさどる。南壁には盗掘の穴も再現されている。四神の下には、頭は獣で体は人間の姿をした十二支が描かれているはずだが、赤い筋が見えるだけで不鮮明だ。

 石室をのぞき込むだけではよく分からないことも、次の大画面の四面マルチ精細映像で、1倍から100倍まで拡大してみせてくれる。天井に描かれていた天文図も頭上に輝き、まさに石室の内部に身を置いたよう。

 体験館というだけあって、石室の造り方を疑似体験できる、18個の積み木による石室パズルや、興味のあるところを詳しく知ることのできるタッチパネルもある。

 1階は文化庁の壁画保存管理施設で、石室から剝ぎ取られた壁画の実物が期間限定で公開される。この日は公開期間ではなく、訪れた年配夫婦から「見られないなんて残念」とため息が漏れた。ただ、公開期間中であっても事前の申し込みが必要だ。

 屋外へ出て、丘の斜面にあるキトラ古墳へ。下段の直径13.8メートル、上段9.4メートルの小さな2段の円墳は、かわいい、というのが率直な印象だ。古墳を造ることが終わりを迎えつつあり、小型化していた時期という。

忠実に模写された男女群像の壁画などが展示されている高松塚壁画館=同村で

忠実に模写された男女群像の壁画などが展示されている高松塚壁画館=奈良県明日香村村で

 奥村さんの案内で高松塚古墳へ向かった。こちらは飛鳥駅から徒歩でも15分くらいだ。鮮やかな男女の人物群像がブームを巻き起こした高松塚壁画館は、思いのほかひっそりした建物。国宝指定の壁画の実物は公開されず、忠実な模写・模造が展示されている。こちらも四神が描かれている。学芸員の泉武さん(65)は「キトラ古墳と造られた時期はほぼ同じ。でも、キトラは十二支、こちらは男女像などと相違点もあり、被葬者の名前とともに分からないことは多い」と話す。謎は古代ロマンには欠かせない要素だろう。

明日香村のシンボルにもなっている石舞台古墳

明日香村のシンボルにもなっている石舞台古墳

 午後は飛鳥駅前で電動アシスト自転車を借りた。起伏の多い明日香村を回るにはちょうどいい。渡された地図を頼りに、まずは村のシンボル、石舞台古墳へ。被葬者は蘇我馬子(そがのうまこ)説が有力で、蘇我氏が政変に敗れた後、封土を剝がれたともいわれる。田園地帯の、時にはあぜの脇にある史跡を巡る。独特な表情の猿石、鬼の雪隠(せっちん)、鬼の俎(まないた)、亀石などの石造群。欽明天皇陵、天武・持統天皇陵などの御陵もある。興味は尽きない。

 締めくくりはわが国最古の仏教寺院とされる飛鳥寺。馬子ゆかりの寺で、本尊の釈迦(しゃか)如来坐像(ざぞう)は飛鳥大仏と呼ばれ、7世紀初めに造られた。裏門の先の田の中に乙巳(いっし)の変(645年)で殺された蘇我入鹿の首塚がぽつんと立っている。栄華を誇った蘇我氏の末期に無常を感じざるを得なかった。

 文・写真 朽木直文

(2017年5月12日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
明日香村へは、新幹線京都駅から近鉄特急に乗り換え、橿原神宮前駅まで約55分。
名古屋からは近鉄名古屋線で大和八木駅経由も。
橿原神宮前駅から明日香周遊バス(赤かめ)が運行。
キトラ古墳へは同駅で近鉄吉野線に乗り換え、飛鳥駅で下車し、路線バスで約5分。
壺阪山駅からは徒歩15分。

◆問い合わせ
明日香村地域振興公社=電0744(54)9200

おすすめ

電気自動車(EV)

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古代米御膳 1080円

古代米御膳 1080円

★国営飛鳥歴史公園 キトラ古墳周辺地区
四神の館のほか田畑や体験工房などがあり、古代ガラス製作や勾玉(まがたま)づくりなどの体験プログラムも(有料)。
四神の館=電0744(54)5105

★ミステリーロマンASUKA 飛鳥王国
明日香村内の観光施設の割引券付きパスポート。
1部100円で観光案内所などで販売。
史跡めぐりの地図やモデルコースなどを紹介。
入館料が1割引きなどの特典。

★2人乗り超小型モビリティー「MICHIMO」
電気自動車(EV)で2014年10月から明日香村、橿原市などの一部エリアで導入した。
3時間3240円など。
11台保有。要予約。
村地域振興公社=電話は上記。

★飛鳥の古代米
古代米は稲の原種の野生稲の特徴を引き継ぎ、ビタミン、ミネラルが多い。
古代米を用いたメニューを石舞台古墳前の観光拠点「明日香の夢市」のレストラン「夢市茶屋」で提供。
古代米御膳は1080円。
電0744(54)9450

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