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ハワイ島

ハワイ島 米国 物語感じる火口探検

日没時のハレマウマウ・クレーター。薄暗くなった空に火口が明るく浮かび上がる

日没時のハレマウマウ・クレーター。薄暗くなった空に火口が明るく浮かび上がる

 冒険の果てたどり着いた地-。クレーター(火口)の底に下り立って最初に抱いた印象がそれだった。
 
 米国ハワイ諸島の最も南に位置する最大の島、ハワイ島。別名ビッグアイランドとも呼ばれるこの島の見どころといえば、やはり火山だろう。

 ハワイ島は5つの火山が融合してできており、そのうち島の南側にあるキラウエア火山が今も活動を続けている。周辺一帯はハワイ火山国立公園となっており、世界遺産にも登録されている。

 「石は絶対持って帰らないでくださいね」。国立公園を巡るツアーは、ガイドの和田タイチョーこと和田義治さん(53)のそんな言葉で始まった。国立公園は保護地区になっているためだが、それだけではないらしい。なんでも「ペレの怒りに触れる」のだという。「ペレ」というのはハワイの人々に信仰されている火山の女神。美しい姿で人間の前に現れるといわれ、今でも「ペレに会った」という人がごく普通にいるのだそう。

 そんなペレがすむとされるのがハレマウマウ・クレーター。国立公園に着いて最初にこの火口を望む展望台へ向かった。遠くに小さく見えるくらいかと思いきや、想像以上に大きく、青空に向かって白い煙を吐き出している火口が見えた。

 今回の旅では、この時を含め三度、違う時間帯に火口を眺め、そのどれもが異なる表情を見せてくれた。日没時は、日が暮れてゆくにつれ、火口がぼうっと明るく浮かび上がってゆき、夜は赤く光る火口の上に天の川がかかって幻想的だった。和田さんが用意してくれた望遠鏡をのぞくと、マグマがまるで竜のようにうねっていた。

キラウエア・イキ・クレーターは底まで下りることができ、人気のトレッキングコースになっている

キラウエア・イキ・クレーターは底まで下りることができ、人気のトレッキングコースになっている

 展望台には博物館もあり、火山に関する説明が充実していた。「ペレの髪」なるものも展示されており興味深かった。

 展望台を後にし、キラウエア・イキ・クレーターへ。1959年の噴火時には600メートル近く火柱を上げたというこの火口も、既に表面は固まっており、底まで歩いて下りられる。ただ、これが運動不足の身にはつらかった。両脇にうっそうと木が茂るつづら折りの道を、20分近く下りただろうか。ふいに空が明るくひらけた。そこには巨大な、ぽっかりと円形にへこんだ空間が広がっていた。

火口に生えるオヒアの木。花を摘むと、引き離された悲しみで雨を降らすという=いずれも米国ハワイ島で

火口に生えるオヒアの木。花を摘むと、引き離された悲しみで雨を降らすという=いずれも米国ハワイ島で

 「冒険の果て-」。気づけば冒頭の言葉をつぶやいていた。

 丸く切り取られた空を雲が音もなく流れてゆく。溶岩でできた地面に日が照り返す。火口の中心へ進むにつれ、不思議と心が静かになる。

 時々、ぽこ、ぽこ、と生える腰の高さほどの木に出合う。オヒアの木だ。火花のような大ぶりの花が咲いている。

 「オヒアはパイオニア植物なんです」と和田さん。溶岩大地に最初に生えるのがこのオヒアの木だという。オヒアの木が育ち、葉を落とし、土を育み、そこに多様な緑が根付き、生き物がすむ。そうやって時間をかけて島の自然が形づくられていく。

 実はこの木、花のことはレフアと別の名前で呼ぶ。その由来は神話にある。昔、オヒアという美しい青年にペレが一目ぼれしたが、オヒアにはレフアという恋人がいた。怒ったペレはオヒアを木に変えてしまう。レフアは悲しみにくれ、かわいそうに思った別の神様が、レフアを花に変えてオヒアの木に咲かせてくれたのだという。

 恋人たちの木から再び生まれゆくハワイ島の自然。溶岩の地に木が芽吹き、花が開き、鳥が憩う。山が眠り、星が流れ、海がきらめき、時にペレが怒りの炎を噴き上げる。島全体が紡ぐ壮大な物語-。そのただ中に立っていることを感じた。

 写真・文 勝祐美子

(2017年7月28日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
ハワイ島へはハワイアン航空が羽田-コナの直行便を運航。
9月からは日本航空が成田-コナの直行便を運航予定。
中部国際空港からはホノルルで乗り継ぎが必要。
ハワイアン航空がホノルル-コナ、ホノルル-ヒロをそれぞれ運航している。

◆問い合わせ
ハワイ州観光局=電03(5213)4643

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旅行雑誌のランキングで全米1位に輝いたこともあるビーチ。
ハプナビーチプリンスホテルからは、目の前に広がるビーチに直接出られる。

★コナコーヒー
ハワイ島はコナコーヒーの産地。
UCCハワイコナコーヒー・エステートでは焙煎(ばいせん)体験ができる。
100グラムの焙煎豆が2袋お土産に付いて35ドル。
コナ国際空港から車で約30分。

★ザ・リム
ハワイ火山国立公園内にあるボルケーノ・ハウスホテル内のレストラン。
ハレマウマウ・クレーターを遠くに眺めながら食事をすることができる。
魚のパイナップル包みはハワイらしい一皿。

★星空・日の出ツアー
マウナケアの上で星空と日の出を見ることができる。
満天の星は圧巻。寒いので防寒着が必要。
ツアー詳細は「マサシのネイチャースクール」で検索。

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