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コモド国立公園

コモド国立公園 インドネシア 恐竜思わす野生の迫力

恐竜の生き残りのようなコモドオオトカゲ。3メートル近い巨体でのそりと迫ってくると、ドラゴンの愛称通りの迫力だ

恐竜の生き残りのようなコモドオオトカゲ。3メートル近い巨体でのそりと迫ってくると、ドラゴンの愛称通りの迫力だ

 そこは、まるでジュラシックパークだ。世界最大のオオトカゲ「コモドオオトカゲ」が唯一、野生で生息するインドネシアのコモド島と周辺の島々。大きいオスは、体長3メートルにも達する。「コモドドラゴン」の愛称が示すように、見た目は、トカゲというよりも恐竜の生き残りを思わせる。

 フローレス島のラブアンバジョ港から、ボートでコモド島に上陸した。早速目にしたのは、野生のシカやイノシシ。「コモドドラゴンは、シカやイノシシを食べるんだ。人が襲われて死んだこともあるが、ガイドと一緒なら大丈夫。いざというときは、私が守るよ」。刺股状の木の棒を手にしたナチュラルガイドのデディさん(27)が説明する。ガイドの帯同は必須だ。

 「あそこにいるぞ」。森に入ると、まもなくガイドが2頭を見つけた。2メートルを超えるオスは、日陰でお休み中だった。「3メートルまで近づいても大丈夫だ」。ガイドの言葉を信じて、近づく。爪は鋭く、肌はびょう打ちのよろいをまとっているようだ。

 さらに森の中を進むと、ガイドが緊迫した声で叫んだ。「私の後ろに隠れろ!」。前からコモドドラゴンが向かってきたのだ。今度は体長3メートル近い大物。のそりのそりと四肢を大きく使って近づいてきた。ぺろりと出した舌の先端は二股に割れ、よだれまで垂らしているではないか。最速で時速20キロ。正面から向かってくると迫力満点だ。大急ぎで道を譲り、ガイドの背中越しにカメラを構えた。

 ガイドの説明によると、人口約1700人のコモド島に、約1000匹のコモドドラゴンがすむ。一時は狩猟でエサとなるイノシシやシカが減ったために数を減らしたが、近年は数を維持している。一年中見ることができるが、繁殖期の6~7月は見つけにくいという。

くだけたサンゴの色で砂浜がピンク色に見えるピンクビーチ

くだけたサンゴの色で砂浜がピンク色に見えるピンクビーチ

 コモド国立公園は、コモド島とリンチャ島、パダール島と周辺の諸島を含み、1991年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録された。くだけたサンゴの色で砂浜がピンク色に見える「ピンクビーチ」も人気で、ダイビング客も多い。パダール島ではトレッキングが楽しめ、岩山と透き通った海の眺望を見下ろせる。

 コモド島にはインスタント麺などを出す屋台が数軒あるだけで、ホテルや飲食店がない。そのため、ガイドが島内の集落にある知人宅で昼食を振る舞ってくれた。にんにくで味付けされた鶏の丸焼きやイカの煮物、焼き魚。どれも濃い味でビールが欲しくなったが、ムスリムの村なので酒はご法度だという。

 集落の家は、高さ2メートルほどの高床式ばかりだ。高潮とコモドドラゴンの侵入に備えるためという。トタンの壁は、南国らしい緑や赤、青の陽気な色に彩られ、高床の下ではヤギや鶏、ネコが放し飼いされていた。散歩していると、集落を走り回っていた子どもたちがカメラにポーズを向けてきた。現地語で何やら話し掛けてきた住民のおじさんは、バナナの天ぷらをくれた。油の甘さとバナナのほのかな酸味が、意外と合う。

高床式の民家が並ぶコモド島の集落。手前では住民の男性がバナナの天ぷらを食べていた=いずれもインドネシアのコモド島で

高床式の民家が並ぶコモド島の集落。手前では住民の男性がバナナの天ぷらを食べていた=いずれもインドネシアのコモド島で

 ボートで1時間ほどかけて、ホテルがあるフローレス島に戻った。静かな海には、数十もの帆船が浮かんでいた。ベッドやシャワーを備えたレンタルの帆船で寝泊まりしながら、周辺の島々を巡る旅行プランが人気なのだという。

 夕日を眺めていると、やがてモスクからアザーンが流れてきた。帆船に明かりがともり、夕日が海の向こうに沈んでいく。旅の終わりの哀愁が、込み上げてきた。

 文・写真 豊田直也

(2017年10月06日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
コモド島へはフローレス島のラブアンバジョ港から高速ボートで約1時間。
コモド空港はフローレス島にあり、ジャカルタやバリ島から国内線が出ている。
バリ島からコモド島を訪れるツアーもある。
バリ島までは、成田、関西から直行便で7時間。
バリ島のアグン山の火山活動が活発化しているので、最新の情報を収集してからお出掛けを。

◆問い合わせ
インドネシア共和国観光省ビジットインドネシア日本地区事務所=電03(5363)0158

おすすめ

シーフード

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パダール島のトレッキング

パダール島のトレッキング

★シーフード
ラブアンバジョ港には夕方から数十軒の屋台が並ぶ。
屋台には、その日に取れた新鮮な魚介類がずらり。
好きな魚を選んで、焼くか煮るか調理法を指定する。
付け合わせで提供される辛口な薬味「サンバル」も、さっぱりとしておいしい。

★パダール島のトレッキング
1時間もあれば、登頂できる低い山がある。
岩山の島に入り江状に食い込んだビーチを見下ろす眺望が人気。

★ラブアンバジョ港の夕日
静かな海に沈む夕日が美しい。
ラブアンバジョ港近くの高台にあるカフェバー「パラダイスバー」のテラス席からの眺めがお薦め。

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