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サムイ島

サムイ島 タイ 時を忘れる静かな海辺

高さ12メートルの仏像が金色に輝くビッグ・ブッダ寺院。欧米人観光客が行き交っていた

高さ12メートルの仏像が金色に輝くビッグ・ブッダ寺院。欧米人観光客が行き交っていた

 「家族でのんびり南の島に行きたいな」。そう思い立ったが、夫は相変わらず仕事に追われていた。仕方ない。時差や飛行時間などを考えて、2歳の長女と2人で無理なく行けそうなのはタイ、か。「程よく静かな海辺で、ゆっくり過ごせるよ」。現地の友人にそう薦められたのがサムイ島だった。

 サムイ空港に降り立つ。首都バンコクの高層ビル群を見た後だったからか、青空が広かった。「ココナツアイランド」と形容されるように、ヤシの木が林立している。どこからか花の甘い香りが漂ってきた。強い日差しで、屋外にいると汗ばんでくる。「サムイ(寒い)」どころか、年中温暖な常夏の島だ。

 南北、東西とも20キロほどで、タイの島では3番目の大きさ。島の半分以上が山地で、5万人が暮らしている。北部のボプットビーチにあるホテルに泊まり、ホテルの男性ガイド、ラチェン・トーンデチャさん(35)に案内してもらうことにした。

 翌朝、車で10分ほどの「アイランド・サファリ」へ連れて行ってもらった。ゾウと触れ合える施設で、「娘も喜びそうだ」と期待に胸を膨らませる。ゾウ使いの青年の手招きで、娘と2人で民家の2階ぐらいの高さの背中の上へ。

 丘の上や林の中をノッシ、ノッシ。段差や上り坂では激しく揺すられ、私のひざに座った娘は表情をこわばらせ、無言のまましがみついてきた。私も座席の手すりをグッと握りしめた。慣れてくると、風が木々を揺らし、小鳥のさえずりが聞こえるのが分かった。残念ながら写真撮影は許可されなかった。

 次に車で15分ほどの「ビッグ・ブッダ寺院」を訪ねた。高さ12メートルの金色の仏像がそびえる。体重12キロの娘を抱っこひもでおなかに抱え、体をふらつかせながら70段余りの石段を上りきった。呼吸を整えつつ仏像の足元を一周する。どこまでも青い海を望むと、爽やかな潮風が頬をなでた。娘はゾウに乗ったときの緊張がやっとほぐれたようで笑顔になり、「海、青いね」「あっ、鳥さん」と景色に見入っていた。

チャウエンビーチが一望できる展望台からの景色=いずれもタイ・サムイ島で

チャウエンビーチが一望できる展望台からの景色=いずれもタイ・サムイ島で

 島で最もにぎわうチャウエンビーチが見える展望台、水しぶきが涼しい「ナ・ムアンの滝」、地元の果物などがそろう市場のある「ナトンタウン」に立ち寄りながら島を一周した。帰り際、「チャウエンは便利で外国人向けだと思うけど、少し騒がしい。地元の人は小規模で静かなビーチに行くよ」。トーンデチャさんは知られざる地元の人気スポットをそっと教えてくれた。

ナ・ムアンの滝の近くでもゾウと触れ合うことができた

ナ・ムアンの滝の近くでもゾウと触れ合うことができた

 ホテルに戻ると、観光客の若い男女4人がタクシーを待っていた。ニュージーランドから友人と遊びに来たという男性(25)は「フルムーンパーティーに行ってきたんだ。最高だったよ」と日焼けした顔をほころばせた。サムイ島の北に位置するパンガン島で満月の夜に開かれるダンスミュージックの野外音楽祭のことだった。世界中からファンが訪れ踊り明かす。

 バンコク滞在を含む1週間の旅だったが、子育てと仕事で目まぐるしい日常をすっかり忘れることができた。ただ真っ赤に日焼けした両肩に、抱っこひもの娘と、2人分の荷物を詰めたリュックがのしかかったのには参った。次回は夫と休暇の日程を合わせて、家族3人で来ることにしよう。

 文・写真 白井春菜

(2017年11月10日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
羽田、成田、中部国際の各空港からバンコクまで直行便で6~7時間ほど。
サムイ島へは飛行機の利用が便利でバンコク・スワンナプーム国際空港から1時間5分~1時間半。
バンコクから南へ700キロの港町スラーターニーから船便もある。

◆問い合わせ
タイ国政府観光庁東京事務所=電03(3218)0355

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現代的な西欧風の飲食店や、アジアのリゾート気分を満喫できるマッサージ店、海辺に似合うアクセサリーがそろう雑貨店などが海沿いに並ぶ地域。
島が近年、観光開発される前は漁師町だったのが名前の由来。
海を眺めながら飲むマンゴーやスイカなどを搾ったジュースは格別。

★ナ・ムアンの滝
内陸部の熱帯雨林の中を高さ18メートルと80メートルの2つの滝が流れている。
滝つぼの近くまで歩いて行くことができるが、岩場なので足元に注意を。
ゾウに乗って周辺のトレッキングもできる。
こちらのゾウは撮影可能。

★ナトンタウン
島北西部のフェリーが発着する港を中心に栄える町。
地元住民も買い物に訪れる市場があり、魚や果物など現地の食材や菓子、日用雑貨を軒先に並べる店が連なる。
南国の果物を市場で買ってビーチや宿泊先で味わう楽しみ方もある。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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