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ローザンヌ、チューリヒ

ローザンヌ、チューリヒ スイス 古都を包む静かな趣

ローザンヌ大聖堂からの幻想的な眺め。レマン湖の向こうに宙に浮かぶように見えるのはアルプスの山々=スイス・ローザンヌで

ローザンヌ大聖堂からの幻想的な眺め。レマン湖の向こうに宙に浮かぶように見えるのはアルプスの山々=スイス・ローザンヌで

 スイスの古都ローザンヌは坂の町だ。レマン湖から高台に向かって石畳の町並みが広がる。

 「スイスで最も美しい教会」と呼ばれるローザンヌ大聖堂はその高台の一角にある。200段を超える階段を上った鐘楼からの眺めは圧巻だった。

 太陽の光を受けて輝くレマン湖の水面(みなも)。その向こう、宙に浮かぶように見えるのはアルプスの山々だ。対岸はミネラルウオーターで有名なフランスの町エビアンである。

 レマン湖畔にケルト人が町をつくったのは紀元前。その後ゲルマン人の襲来を受け、周りに見張りを置くために高台に町が整備されたという。聖堂がある旧市街が築かれたのは中世。歴史の町である。隣接するフランスからの移住者を含め人口の約4割が外国人という国際都市でもある。

 訪れたのは10月下旬。この時期のヨーロッパはもう日が短い。日の出は朝の8時半ごろだった。街を歩けば、わずかな太陽を惜しむように、肌寒いこの時期でも日中はオープンカフェがにぎわう。

石畳の屋外でランチを楽しむ人たち。正午すぎだというのに太陽は低く影が伸びていた=ローザンヌで

石畳の屋外でランチを楽しむ人たち。正午すぎだというのに太陽は低く影が伸びていた=ローザンヌで

 「決して観光地というわけではない。だけど落ち着いた町並みが好きなの」。フランスからやってきたという若いカップルが話していた。

 確かに。石造りのローザンヌ駅の正面に「五輪首都」と掲げられているように、ここには国際オリンピック委員会の本部がある。スイスの最高裁もある文教都市だが、町全体は静かな趣に包まれている。欧州屈指の保養地の理由はこの辺りにもあるのかもしれない。

 初めてのスイス。驚いたことはいくつかあるが、その一つがうわさに聞いていた物価の高さ。「街のレストラン」といった風情の店でランチを食べても2000~3000円くらいは当たり前にかかる。「物価が高いのは人件費が高いから。一般的な会社員でも30歳で年収1000万円くらいといわれます」というのは現地ガイドの森田淳子さん。「世界中のマクドナルドで最も高価なのがスイス」とも。

 ちょっとびくびくしながら入ったレストランでは、名物の「パペボドア」を注文した。キャベツ入りの巨大ソーセージ。森田さんによると、かつて税金の代わりにソーセージを献上した時代、量を水増しするためにキャベツを混ぜたのが始まりとか。酸味があってジューシー。他の先進国と比べこの国で唯一安いといわれるワインに合う。ローザンヌは郊外にブドウ畑が広がり、ワインの産地でもある。

 ちなみに、スイスではソーセージは国民食。休日には郊外の森で枯れ木を集めバーベキューを楽しむ人も多い。その際に使うのが、お土産でも有名なアーミーナイフで、スイス男性の6割は常時携行しているという統計もあるとか。

スイスの鉄道には改札がない。切符は車内で確認するためで、遮る壁もないのでホームには誰でも立ち入れる=スイス・チューリヒ駅で

スイスの鉄道には改札がない。切符は車内で確認するためで、遮る壁もないのでホームには誰でも立ち入れる=スイス・チューリヒ駅で

 さて、旅の起点は最大の都市チューリヒだった。スイスは鉄道網が充実し、ローザンヌまで2時間ほど。チューリヒ市街もトラムなど公共交通機関が発達し、タクシーなど車の必要性は感じなかった。

 石畳の町並みの中に大都市らしいにぎやかさがあり、歩いて楽しい。散歩中に驚いたのは、つじつじに小さな噴水があり、見ていると行き交う人が空のペットボトルにくんでいたことだった。試みに手ですくってみると、水道水だが甘みがある。日本人がコンビニでミネラルウオーターを買うように、飲み水に利用されている。こんな噴水が市内だけで約1200カ所あるという。

 文・写真 森本智之

(2017年12月8日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
成田からチューリヒまでスイス国際航空の直行便で約13時間。
ローザンヌまではスイス国鉄SBBの特急列車で約2時間。

◆観光情報
スイス政府観光局のホームページ(日本語)で。

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★スイストラベルパス
スイス全土の国鉄や湖船、主要90都市のトラム、バスなどが決められた期間内は乗り放題になるチケット。
利用期間に応じて3~15日の4種類ある。
約500カ所の美術館・博物館にも無料で入れる。
公共交通機関の発達したスイスでは便利。

★スイスの紙幣
金融業が基幹産業というお国柄か、最新技術を駆使し「世界一偽造が難しい」といわれる。
カラフルなのも特徴。
描かれているのは文化人の肖像で、作品の国立西洋美術館(東京)などが昨年、世界遺産に登録された建築家のル・コルビュジエ(10スイスフラン)や、彫刻家のジャコメッティ(100スイスフラン)ら日本でもおなじみの人も。

★チューリヒ美術館
モネの「睡蓮の池、緑の反映」などやゴッホ、セザンヌらの近代絵画を中心に、ジャコメッティやホドラーといったスイスゆかりの美術家の作品も多数展示する。
1787年開館のスイス最大規模の美術館で見応えがある。

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