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淡路島

淡路島 兵庫県 黄色の丘 見渡す海原

遠く海を望む丘一面に咲く菜の花=兵庫県淡路市の「あわじ花さじき」で

遠く海を望む丘一面に咲く菜の花=兵庫県淡路市の「あわじ花さじき」で

 風はまだ冷たかったが、花畑にはもう一面の菜の花が咲いていた。花畑の向こうに遠く大阪湾が見渡せる。2月上旬、一足早い春を探しに兵庫県の淡路島を訪ねた。
 
 「気温が氷点下まで下がる日が続いてるんです。こんなこと初めてです」。県の観光施設「あわじ花さじき」(淡路市楠本)の広報井筒邦子さん(47)が、苦笑しながら話す。井筒さんに言わせると、菜の花はこの寒さでいつもよりだいぶ元気がないという。「でも寒さが和らげばきっと元気を取り戻します。3月下旬には100万本の菜の花で埋め尽くされますよ」と井筒さん。

 「あわじ花さじき」は、明石海峡から大阪湾まで見渡せる広大な斜面(約15ヘクタール)を覆い尽くすように四季折々の花畑が広がる淡路島の花の名所だ。訪ねた時は、早咲きの菜の花とストックが出迎えてくれた。3月中旬から5月にかけての花のピーク時は、広大な丘一面がまるで花のパッチワークのようになるという。そう聞くとまた来てみたくなる。入園は無料、ベンチや展望デッキもあり、遠くに海を見ながら散策が楽しめる。

人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」の一場面=兵庫県南あわじ市の淡路人形座で

人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」の一場面=兵庫県南あわじ市の淡路人形座で

 淡路島の旅で、もうひとつ楽しみにしていたものがある。500年の歴史をもつという淡路人形浄瑠璃を見ることだ。江戸時代にはここに40以上もの人形座があったという。文楽の始祖植村文楽軒も淡路出身だ。現在は「淡路人形座」(南あわじ市福良)ただ一つが伝統を受け継ぎ活動している。原則毎週水曜日の休館日以外は一日4回の公演(出張公演のための臨時休演もある)を行っている。

 淡路人形浄瑠璃は、黒衣(くろこ)の人形遣い(3人)、登場人物の言葉や情景を語る太夫(たゆう)、三味線の三者で演じる。演目は月ごとに入れ替わり、訪ねた日は「傾城阿波(けいせいあわ)の鳴門(なると) 順礼歌(じゅんれいうた)の段(だん)」が上演されていた。「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します・・・」。順礼の娘お鶴のあのせりふで有名な演目だ。

 訳あって今は盗賊の一味となっている十郎兵衛、お弓夫婦。そこへ、両親を捜して徳島からはるばる旅をしてきたという順礼の娘お鶴が偶然訪れる。両親の名を聞けば、なんと娘は国に残してきた自分の娘。すぐに抱きしめ母と名乗りたいお弓。だが、盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れ、お弓は親と名乗れないまま国へ帰れと娘を追い返す。

 三味線のもの悲しい音色にのせた太夫の語りが劇場に響く。わが子を前に親と名乗れず煩悶(はんもん)するお弓。その切ない姿が涙を誘う。いつのまにか話の世界に引き込まれていた。

 「人形浄瑠璃は、日本人の心の琴線にふれる悲しい話が多い。生の公演を見て、こんなに素晴らしいものだったとは・・・と言ってくれる人も多いんです」と淡路人形座の坂東千秋支配人(54)。記者も、抑揚のある独特の語りと三味線の深い音色に心を揺さぶられた。

渦潮は見られなかったが、大鳴門橋までの海のクルーズは爽快だった=うずしおクルーズ船「咸臨丸」で

上渦潮は見られなかったが、大鳴門橋までの海のクルーズは爽快だった=うずしおクルーズ船「咸臨丸」で

 人形座の目の前にある福良港からは、鳴門海峡の渦潮を見られるうずしおクルーズ船「咸臨(かんりん)丸」が出ている。せっかくなので乗船した。

 大潮の時には直径30メートルにもなる渦が出現すると聞いたが、この日は運悪く小潮。さざ波程度で期待の渦は見えなかった。渦は潮の干満差で発生するため、大潮の時ほどよく見られる。運航会社のホームページに渦潮の見頃カレンダーが出ているので、確認してから出かけたほうがよさそうだ。

 渦潮は見られなかったが、大鳴門橋まで往復約1時間のクルーズは実に爽快で、春の光を浴びた海がとてもきれいだった。

  文・写真 橋本節夫

(2018年3月9日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
南あわじ市福良へは、新幹線新神戸駅から神戸市営地下鉄で三宮まで行き、駅前のバスターミナルから高速バスで約1時間30分。
「あわじ花さじき」は、島北部の東浦バスターミナルからタクシーで約10分。

◆問い合わせ
淡路島観光協会=電0799(25)5820

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★道の駅あわじ
明石海峡大橋を間近に見られるビュースポット。
地元産の食材を使った食事が楽しめるレストランや、新鮮な魚介類、農産物が買える販売所がある。
電0799(72)0001

★淡路島3年とらふぐ
通常2年で出荷するトラフグを3年かけて福良湾で育てる。
通常より大きく育ち、潮流で身が締まって甘味のある濃厚な味がする。
3月末ごろまで島内のホテル、旅館、飲食店などで食べられる。
福良漁業協同組合=電0799(52)0064

★休暇村南淡路
鳴門海峡や大鳴門橋が一望できる展望露天風呂からの眺めが素晴らしい。
直径400ミリの大型望遠鏡を備えた天文台もあり、「星のソムリエ」による星空観察会が毎夜開かれる。
2名1室利用で1人あたり1万2400円(入湯税別、1泊2食)から。
電0799(52)0291

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