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六甲山牧場から有馬温泉へ

六甲山牧場から有馬温泉へ 神戸市 羊に和み湯煙を満喫

来場者を和ます、自由に動き回る羊たち=神戸市灘区の六甲山牧場で

来場者を和ます、自由に動き回る羊たち=神戸市灘区の六甲山牧場で

 斜面でのんびり草をはんだり、来場者用の歩道をわが物顔で横切ったり。ケーブルカーやバスを乗り継いで、神戸市灘区の山の上に広がる市立六甲山牧場を訪れると、場内では羊が勝手気ままに過ごしていた。

 標高約700メートルの同牧場は125ヘクタールの広さがあり、23ヘクタールが一般開放されている。羊や馬、牛、ヤギ、ウサギなど9種類の270匹が飼育されている。一番多いのが羊で11種、約150匹おり、このうちコリデールとサフォークを中心に雌の約120匹が朝から夕方まで自由に歩き回っている。無邪気になでる子どもをビデオやカメラに収める親の姿があちらこちらで見られた。

 副場長の坂本浩也さん(47)は「人と動物と自然の触れ合いがうちの売り物。ジャイアントパンダがいくらかわいくても、また、ライオンや象が雄々しくても、しょせん檻(おり)の向こう側にいますからね」と自慢する。馬に乗ったりヤギにえさをやったり、ウサギをなでることもできる。

 ベンチに腰を下ろしていると、すぐそばを羊が通り過ぎていく。山上ならではの澄んだ空気の中でヨーロッパ調の建物を眺め、子どもたちのはしゃぐ声を聞いていると、のんびりとした気分になってくる。どこかでカラスも鳴いている。坂本さんは「長い人で約3時間滞在していきます」と言っていたが、さもありなんという気がしてくる。大阪府高槻市から一家3人で来たという女性(33)は「遠すぎず近すぎず、私は3回目です。景色もいいし、街中の動物園にはない開放感がいいですね」と話していた。

美しい夜景をスマートフォンで撮影する人=灘区の掬星台で

美しい夜景をスマートフォンで撮影する人=灘区の掬星台で

 牧場を後にして、山腹の宿泊施設に投宿し夕食後、近くの展望台「摩耶(まや)山 掬星(きくせい)台」へ。「星を掬(すく)うかのように、眼下の光の粒を掬えそうな1000万ドルの夜景」がうたい文句で、日本三大夜景に数えられているという。家族連れやカップルが次々に訪れ、眼下の港や市街地の眺望に歓声を上げスマートフォンに収めていた。ただ、寒さが厳しく、訪れた人たちは撮影を終えると、そそくさと帰って行った。

 翌日は道草を食いながらバスに乗ったり歩いたりして、六甲有馬ロープウェーの六甲山頂駅付近に到着。通常なら同駅から12分で神戸市北区の有馬温泉駅に到着するのだが、あいにく訪れた2月下旬は点検期間中のため運行休止で、歩いて行くことに。ところが肝心の登山道が分からない。地図を見ながら右往左往していると、工事現場のおじさんが声を掛けてくれた。
 

激しく湯煙を噴き上げる天神泉源=神戸市北区の有馬温泉で

激しく湯煙を噴き上げる天神泉源=神戸市北区の有馬温泉で

 「ここを下って突き当たりを右に行けば標識があるよ。右ですよ」。ありがたい仰せに従って舗装道路を進むと「有馬4km」と記載された道標を見つけ一安心。大した距離じゃないと、軽い気持ちで山道に入ったが、凍りついた残雪がありおっかなびっくり一歩ずつ踏み出したり、迂回(うかい)せざるを得ない箇所があったりして2時間以上かかってしまった。

 温泉街では、お店が立ち並ぶ狭い坂道が国内外の観光客でにぎわっていた。足湯で休みたいと思ったが、文字どおりすし詰め状態で断念。観光マップを広げ、地下185メートルから温泉をくみ上げているという天神泉源へ向かった。泉源は神社の境内にある。絶えず湯煙が立ち上っており、数メートルの高さに達するときもある。友人と来たという東京都大田区の女性(61)は「いかにも温泉地という感じ。こういうのを見ると、地球って生きてるんだなあと思いますね」と満足げに話し、湯煙を背にして記念写真に納まった。

 文・写真 松田士郎

(2018年3月16日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
六甲山牧場へは大阪(梅田)から鉄道を利用し、御影(阪神)、六甲道(JR)、六甲(阪急)の各駅いずれかで下車し、最寄りバス停から神戸市バス、六甲ケーブル、六甲摩耶スカイシャトルバスを乗り継ぐ。
今月20日からは阪急六甲から牧場まで直通する阪急バス表六甲線も春ダイヤ(土、日曜と祝日のみ)で運行される。

◆問い合わせ
神戸市総合インフォメーションセンター=電078(322)0220

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六甲山牧場のソフトクリーム

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六甲オルゴールミュージアム

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★六甲山牧場とソフトクリーム
入場料は大人500円、小中学生200円。
20日は定休、4月から10月まで無休。
場内で販売しているソフトクリームは、カマンベールチーズを使っており、1年に10万個以上売れる人気商品。
「甘さ控えめの濃厚な大人の味」で380円。
電078(891)0280

★摩耶山天上寺
646(大化2)年に、インドの渡来僧の法道仙人が開創し、弘法大師が中興したという古刹(こさつ)。
仏教的な仙郷の世界を表しているという庭がある。
電078(861)2684

★六甲オルゴールミュージアム
約100年前から現代までの国内外の大小約30台が展示されている。
音楽に合わせて動く自動人形や自動演奏バイオリン、手回しオルガンもあり、コンサートも開かれている。
入館料は大人1030円、子ども510円。
六甲ケーブルの六甲山上駅から六甲山上バスに乗車。
電078(891)1284

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