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オックスフォード、マーチャム

オックスフォード、マーチャム 英国 学びの歴史 守り続け

聖メアリー大学教会の塔から眺めたオックスフォードの街並み。正面左は大学図書館の一部「ラドクリフカメラ」。右はオールソウルズカレッジ=英・オックスフォードで

聖メアリー大学教会の塔から眺めたオックスフォードの街並み。正面左は大学図書館の一部「ラドクリフカメラ」。右はオールソウルズカレッジ=英・オックスフォードで

 英国オックスフォードの街には、雲が低く垂れ込めていた。街の中心部にある「聖メアリー大学教会」を訪れ、塔の上へ。高さ約35メートルの展望台からは石造りの「カレッジ」群が見渡せ、重厚な歴史の街に足を踏み入れたことを実感した。

 11世紀まで起源をさかのぼれる英国最古の大学、オックスフォード大。学生は大学の学部のほか、特色ある約40のカレッジに所属する。寮や食堂などがあるカレッジは「学寮」と訳され、学生たちの生活の基盤となる。担当教官による1対1の個別指導も行われる。厳しくも手厚い指導が同大の教育の特長とされている。

 カレッジの中で最大規模のクライストチャーチを訪れた。約500年前に創設。13人の首相を輩出し、「不思議の国のアリス」の作者、ルイス・キャロルが数学講師を務めていたことでも知られる。荘厳な大聖堂や芝生の中庭、回廊などを一般公開。中でも人気なのが映画「ハリー・ポッター」シリーズで、魔法学校のダイニングホールのモデルとなった広い食堂だ。壁にずらりと肖像画が並び、今も学生らが食事をする。学びを支える環境の豊かさに圧倒された。

「お茶や食事でほかの人と語り合うのも大切な時間」と話すジェーン・ディクソンさん

「お茶や食事でほかの人と語り合うのも大切な時間」と話すジェーン・ディクソンさん

 翌日は大人向けの教育施設を訪ね、オックスフォードから車で約20分のマーチャムへ。英国政府公認ガイドの木島タイヴァース由美子さん(66)の案内で、全国的な女性団体「ウィメンズ・インスティテュート(WI)」が1948年から運営する「デンマンカレッジ」を見学した。約6万9000平方メートルの緑あふれる敷地には、18世紀に建てられた本館や6つのコテージがある。料理や手工芸、アートなどを学べ、宿泊もできる。

 校長のジェーン・ディクソンさん(63)は「暮らしを豊かにするプログラムを提供している」と話す。英国のWIは第一次世界大戦中に活動を開始。当初は食糧難に対応するため女性に農業や食品の保存技術などを教えたり、学校へ行けなかった女性に教育の機会を与えたりした。今では役割は大きく変化。「女性が日常生活から離れ、母や妻としてではなく、自分のために、やりたいことに挑戦する場所がデンマンなのです」

 
イチジクなどを添えた「メレンゲネスト」という英国菓子を手にする料理講師のケリー・メイジャーさん

イチジクなどを添えた「メレンゲネスト」という英国菓子を手にする料理講師のケリー・メイジャーさん

 英国ではもともと生涯学習が盛んといい、デンマンでは現在、年間650クラスを開講。2泊3日のコースが中心で、一日コースは100ほどある。受講者は年間約9500人。参加者の9割が女性で、60代が中心だ。最近の人気は銀細工や水彩画で、菓子やパンなどを作る料理教室も定評がある。この日は見学者向けに菓子作りの講師、ケリー・メイジャーさん(30)が多様な英国菓子を作っていた

 200キロ以上離れたノーフォーク州から、3日間の銀細工クラスに参加した女性(67)は「淡水パールと銀のアクセサリーを作りたくて」と目的を語った。デンマンに来るのは8回目。いつも一人で参加するが、受講中はもちろん、食事やお茶の時間など交流の機会が多く、心細さを感じたことはないという。

 銀細工は初挑戦で「新しいスキルを得られ、さまざまな人と出会える。とても楽しい時間です」。そう語る笑顔は、学び続ける喜びに輝いていた。

 文・写真 竹上順子

(2018年5月11日 夕刊)

 
真剣な表情で銀細工に取り組む参加者=いずれもデンマンカレッジで

真剣な表情で銀細工に取り組む参加者=いずれもデンマンカレッジで

メモ

地図

◆交通
成田空港や羽田空港からロンドン・ヒースロー空港へは、直行便で約12時間30分。
ヒースロー空港からオックスフォードへは長距離バスで約1時間30分。

◆観光情報
英国政府観光庁の日本語サイト「VisitBritain」で。

おすすめ

聖メアリー大学教会のカフェ

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デンマンカレッジ

デンマンカレッジ

★オックスフォード大の観光
カレッジの公開日時や入場料はまちまち。
同大ホームページ(英語)内の「Visiting Oxford」が便利。
聖メアリー大学教会のカフェなど学内で食事ができる場所も紹介。

★デンマンカレッジ
木島タイヴァース由美子さんの主宰する「カルチャーツーリズムUK」を通じて、日本からも講座に参加できる。
宿泊と1日の講座があり、例えば2泊3日のパン教室は、授業料や材料費、宿泊費、食事代などを含め約6万6000円(1ポンド=150円の場合)。
ベッドルームのインテリアは、WI各支部が担当。
詳しくはホームページから(「カルチャーツーリズムUK」で検索)。

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