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モントリオール、シャルルボワ

モントリオール、シャルルボワ カナダ 輝く大河 人と文化潤す

ダウンタウンとセントローレンス川を見下ろす展望台では、人々が写真撮影に熱中していた=カナダ・モントリオールで

ダウンタウンとセントローレンス川を見下ろす展望台では、人々が写真撮影に熱中していた=カナダ・モントリオールで

 メープルの赤い葉が印象的な国旗よりも、青地に白十字、ユリの紋章を配した州旗の方が街中にはためくカナダ・ケベック州。フランスからの入植者が発展させてきたため文化も言葉もカナダの他の州とは異なる。その中心都市、モントリオールはセントローレンス川を使った交易で栄えてきた。小高い丘に登ってダウンタウンを見下ろすと、高層ビルの向こうに街を貫くセントローレンス川が見える。多くの観光客が「インスタ映え」しそうな絶景を楽しんでいた。

 記者が訪れた7月は、街は国際ジャズフェスティバルの真っ盛り。国内外の370組のアーティストが、屋内外各所に設置されたステージで10日間、モントリオールの夏を熱くする。ジャズと銘打っているが、あらゆるジャンルの音楽が深夜まで響き渡る。

 地元名産のジンをあおり、夜中にふらつきながらステージを巡った。観光局のダビッドさん(29)は「ぼくはフランス出身だけど、ここはヨーロッパより治安が良い。移り住んでから一度も怖い目に遭ったことがない」と胸を張る。筆者は昔、お隣の米国や欧州全域、アフリカの一部をバックパックを担いで旅したが、この街を歩く安心感は群を抜いていた。フランス語圏の人々は英語話者を毛嫌いするイメージも勝手に抱いていたが、そんなことも一切なかった。

朝焼けに輝くセントローレンス川

朝焼けに輝くセントローレンス川

 モントリオールを堪能した後、セントローレンス川に沿って敷設された鉄道でシャルルボワを目指した。川はナイアガラの滝、五大湖東端のオンタリオ湖を経て、モントリオール、ケベックシティー、シャルルボワを通って大西洋に流れ込む。車窓からは、大西洋から悠然と上流に向かうコンテナ船や大型客船が目に入ってきた。

 川の中ほどに度々、浮島のような人工物が設置されていることに気付いた。女性添乗員が「あれは灯台。昔はあの中に人が住み込んで操作していたんだけど、今は自動化されて無人なの」と教えてくれた。「対岸までどれぐらいあるの」と尋ねると、「さあ。何十キロか、もしかしたら100キロ以上かも。海みたいでしょ」。日本人がイメージする川をはるかに超える大きさだ。

カフェやバー、画廊が並ぶシャルルボワの街並み=いずれもカナダ・シャルルボワで

カフェやバー、画廊が並ぶシャルルボワの街並み=いずれもカナダ・シャルルボワで

 モントリオールをたってから7時間、今年の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれたシャルルボワに着いた。日本ではなじみのない地名だが、昔は陸路ではなく富裕層が船で休暇に訪れた保養地だ。G7首脳が火花を散らしたホテル「フェアモント・ル・マノワール・リシュリュー」。その正面玄関が道路側ではなく、川に向かって造られているのがその証拠だ。

 シャルルボワには約4億年前、巨大な隕石(いんせき)が落下したという。衝撃によって直径約50キロのクレーターができ、大地が波打ったようになっている。起伏に富む地形の中を、地元出身のロホンスさん(27)がドライブに連れて行ってくれた。「ここはカナダ一美しいドライブルートなの」。立ち寄ったチーズ農家では地元の希少品種「カナディアン牛」の乳を使った珍しいチーズをいただいた。地ビールも種類豊富で、「プティーン」というジャガイモの郷土食も美味だ。

 食あり、自然あり、音楽あり、人々のおもてなしありのケベック州を満喫した。ただ残念だったのは、セントローレンス川に入り込む鯨やシロイルカと対面できなかったことだ。
 
 ホエールウオッチングは地元で人気のレジャーになっており、シロイルカはG7の開催中にも顔を出したというのだが、こればかりは日ごろの行いのせいとあきらめるしかなかった。

 文・写真 山口哲人

(2018年8月17日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
モントリオールへは今年6月に就航したエアカナダの成田空港発の直行便が便利。
10月27日までの夏季スケジュールでは毎日運航。
冬季は週3日となる。

◆問い合わせ
カナダ観光局公式ウェブサイトの「ケベック州」を選択すると詳細情報が掲載されている。

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フェアモント・ル・マノワール・リシュリュー

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プティーン

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★フェアモント・ル・マノワール・リシュリュー
G7サミットが開かれた古城のようなホテル。
目の前にはセントローレンス川が流れる。
夏はゴルフ、冬はウインタースポーツに出掛ける起点となる。
館内のレストランは地産地消を実践しており、地元食材や地ビールを楽しめる。

★プティーン
ケベック州の郷土料理で、フライドポテトにチーズを載せ、グレービーソースで味付けしている。
シャルルボワの中心都市・ベサンポールのレストラン「leSaint‐Pub(ルサンピューブ)」は地元住民でにぎわう人気店で、プティーンが絶品。
G7で提供された地ビールを造ったのも、この店の醸造所。

★トマトワイン
シャルルボワには地ビールやアップルワインの醸造所が点在するが、トマトワインは「世界でうちの醸造所だけ」と開発したパスカルさん。
この醸造所「OMERTO(オメルト)」のトマトワインは数々の国際賞に輝く。
ちなみにトマトの風味は全くしない。

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