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倉敷市、岡山市

倉敷市、岡山市 岡山県 美観広がる「晴れの国」

 「7月の豪雨で倉敷市の真備町地区は大きな被害を受けましたが、観光地はあまり影響はなかったんですよ。でも、キャンセルが相次いで…」

 倉敷市の倉敷美観地区で観光ボランティアガイドを務める平瀬玲子さん(71)は、風評被害の広がりを悔しがる。

 しかし、すぐに「秋風とともに、徐々に観光客も増えてきました」と笑顔に戻った。

 美観地区を歩くと、外国人観光客の姿が目立つ。台湾、中国や韓国などアジア系はもとより、米国、英国やフランスなどの欧米系も少なくない。このため、中国語や英語ができるボランティアガイドも増えているという。岡山県屈指の観光地は、グローバル化を実感できる有数の観光地ともいえそうだ。

舟で美観地区巡りを楽しむ観光客ら=倉敷市で

舟で美観地区巡りを楽しむ観光客ら=倉敷市で

 柳並木が続く倉敷川を菅笠(すげがさ)をかぶった観光客を乗せた川舟が行き来する光景は美観地区の定番だが、日本的な独特の風情をカメラやスマホに収めようとする人たちでにぎわうのも昨今の特徴のようだ。

 「美観地区のすばらしさは、川畔だけではありません」と言って、平瀬さんが案内してくれたのは、白壁土蔵のなまこ壁が並ぶ路地。さらに抜けると、阿智神社のある鶴形山の南麓を巻くように、本町通りの格子窓の家並みが延々と続く。その中に、土蔵や町家を利用したみやげ物店や食事処(どころ)が溶け込んでいる。美観地区一帯は予想以上に広く、奥行きがあった。

 そして、たどり着いたのが美観地区のシンボル・大原美術館。倉敷の実業家・大原孫三郎が、洋画家の児島虎次郎に託して収集した美術品を展示するため、1930年に開館した本邦初の私設の西洋近代美術館だ。

 広大な敷地に、モネの「睡蓮(すいれん)」やエル・グレコの「受胎告知」など西洋美術を集めたギリシャ神殿風の本館、米蔵を改装して中国の美術品を収めた東洋館、内外の陶芸品を一幅の絵画のように陳列している工芸館、日本の洋画家や現代美術の作品を展示する分館が立ち、約3000点の貴重な収蔵品の一部がさりげなく並んでいる。旧大原家住宅も4月から一般公開された。

瀬戸大橋を一望のもとに見下ろせる鷲羽山展望台=倉敷市で

瀬戸大橋を一望のもとに見下ろせる鷲羽山展望台=倉敷市で

 大原美術館を含めた美観地区は、かけ足でも半日、ゆっくり見て回ろうとすれば、とても1日では足りそうにない。

 倉敷市の街中を離れ、児島地区の南端にある鷲羽山に登ってみた。海上から眺めると、鷲が翼を広げた姿に見えることから、この名がつけられたという。

 標高は130メートル余にすぎないが、山頂近くの展望台に立つと、眼下に瀬戸大橋と無数の島々が広がる。遠くには四国の山々も望むことができる。行き交う船はミニチュアのようだ。「瀬戸内海の多島美」とは、このことかと合点した。まさに絶景!

四季折々の風情を楽しめる岡山後楽園。芝生広場では岡山城をバックに結婚式の撮影も=岡山市で

四季折々の風情を楽しめる岡山後楽園。芝生広場では岡山城をバックに結婚式の撮影も=岡山市で

 日本三名園の一つ、岡山後楽園にも立ち寄った。

 岡山藩主・池田綱政が元禄時代、旭川をはさんで岡山城の対岸に造営した回遊式庭園で、四季の移り変わりを楽しめるよう随所に工夫が凝らされている。

 当時の姿を色濃く残しており、代々の藩主が愛(め)でた風景を、今は誰でも楽しむことができる。「絵になる絶好の撮影スポットがたくさんあるんです」と言うのは、ボランティアガイドの巽忠弘さん(72)。確かに、園内のあちこちでカップルやファミリーが記念撮影に興じていた。

 岡山滞在中は、青空の好天に恵まれた。雨の日が少ないという岡山県は、キャッチフレーズの「晴れの国」にふさわしく元気を取り戻しつつある。

 文・写真 水野泰志

(2018年11月9日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
山陽新幹線・岡山駅でJR山陽線に乗り換え倉敷駅下車。
同駅から美観地区までは徒歩約15分。
鷲羽山展望台へはJR瀬戸大橋線・児島駅からバスがある。

◆問い合わせ
倉敷駅前観光案内所=電086(424)1220

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下津井のたこめし

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地元産の大ぶりのカキがたっぷりのったお好み焼き

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★吉備路・吉備津神社
主祭神は桃太郎伝説のモデルとなった大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)。
本殿・拝殿は国宝、御釜殿など重要文化財も多数。
桃の形をしたお守りは恋愛や縁結びに御利益があるといわれる。
岡山駅からJR吉備線(桃太郎線)吉備津駅下車徒歩10分。
電086(287)4111

★下津井のたこめし
体長60センチにもなる「下津井ダコ」と呼ばれる大タコを刻み、山菜をまぶした炊き込みご飯。
急潮にもまれて育つため、身が締まり甘みがある。
秋から冬にとれる「寒ダコ」はとくに美味という。
倉敷市下津井漁港近辺の食事処で楽しめる。
1000円前後から。

★日生(ひなせ)カキオコ
地元産の大ぶりのカキがたっぷりのったお好み焼きを目の前で焼いてくれる。
漁師町の備前市日生町内に10数軒あり、店ごとに焼き方や味が異なる。
1000円前後から。
岡山駅からJR赤穂線日生駅下車。
備前観光協会=電0869(72)1919

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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