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バルセロナ

バルセロナ スペイン 奇想、創造の匠ガウディ

1882年に着工し、ガウディが2代目主任建築士に就任したサグラダ・ファミリア教会。外部の工事が急ピッチで進む=スペイン・バルセロナで

1882年に着工し、ガウディが2代目主任建築士に就任したサグラダ・ファミリア教会。外部の工事が急ピッチで進む=スペイン・バルセロナで

 「飛行機遅れませんでしたか? 176年ぶりにハリケーンがスペインを通過したのですよ」と現地のガイドさん。

 ハリケーンが来る前に空港に到着し、ホテルで熟睡していた私は全然知らなかった。それにしても、スペインの人の時間の概念は100年規模のようだ。

 今回のお目当ては、1882年に着工し、完成まで300年はかかるといわれていたサグラダ・ファミリア教会。工事のハイテク化と資金面でのめどがたったため、予定より150年ほど早く、この教会建築のために後半生をささげた建築家アントニオ・ガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定だという。

 完成後の雄姿を見ようかと思ったが、工事中の姿は今しか見られないと今回の旅を決めた。

 内部は既に完成していて、10年にローマ法王が訪れ、カトリック教会として認められた。柱は樹木をイメージし、ステンドグラス越しに日差しが入り森にいるような雰囲気だ。

 尖塔(せんとう)に昇るエレベーターに向かったが、6、7人しか乗れないので大行列だ。水戸市から来たという男性は、前日に訪れたものの、「故障のようで上がれなかった」と嘆く。エレベーターは尖塔に鐘を取り付けるための工事用で、強風でも止まることがあるという。

 ようやく高さ65メートル地点に到着し、さらに階段を5、6段上る。壁と壁の隙間から外を見ると、町が一望でき、地中海も見える。港近くのコロンブスの像は大海原に向かって立つ。

 青空をバックに映える景色を目に焼き付け、らせん階段を下りる。そろり、そろりと足を出す。吹き抜けの下を見てしまい、くらくらして、足がすくむ。自分の足元だけに集中してなんとか下りる。地上に着くと、膝が笑っていた。

サグラダ・ファミリアの尖塔から町並みを見渡す。すぐ下にはバナナやブドウなど果物の装飾がついた塔がある

サグラダ・ファミリアの尖塔から町並みを見渡す。すぐ下にはバナナやブドウなど果物の装飾がついた塔がある

 地下の博物館には、高さ数メートルある完成想像模型や着工当初から今までの写真が時系列で展示され、ガウディのひつぎもある。彼に建築学校の卒業証書を授与した校長は「あなたの将来は“ばか”になるか“天才”になるか、どちらかでしょう」と語ったそうだ。

大昔は海だったところが、隆起してできたモンセラット。修道院の中庭にパワースポットもある=スペイン・カタルーニャ州で

大昔は海だったところが、隆起してできたモンセラット。修道院の中庭にパワースポットもある=スペイン・カタルーニャ州で

 その天才ぶりを発揮したガウディ建築のヒントになったのが、バルセロナから、車で約1時間のところにある山「モンセラット」。モンは山、セラットはのこぎりの意味で、文字通りごつごつした山肌だ。ガウディは若い頃、ここで岩を切り出しバルセロナに運ぶアルバイトをしていた。その頃の構想がサグラダ・ファミリアなどに生かされている。岩肌に守られているように修道院が立つ。その祭壇の奥には黒いマリア像が安置され、右手に触れて、願い事をすると、かなうという。私も家族の健康を願った。ガウディはどんな祈りをささげたのだろう。

 また、17世紀に伊達政宗の家臣、支倉(はせくら)常長も慶長遣欧使節としてローマに向かう途中にスペインを訪れ、この山に馬で登った。「使節の一部の人たちの子孫が、今もコリア・デル・リオという町にハポン(日本)姓を名乗り暮らしている」とガイドさんが教えてくれた。

 ガウディ建築のすばらしさの一端に触れた今回の旅だったが、欲を言うと、完成したサグラダ・ファミリアをもう一度見に行きたい。

 文・写真 馬目詩子

(2018年11月30日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
成田、中部国際空港からフィンランド航空でヘルシンキまで約10時間15分。
バルセロナまで3時間55分。

◆観光情報
スペイン観光局のホームページが詳しい。

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1900~14年、富裕層のための新興住宅地として開発されたが、今は公園として一般公開している。
入り口近くにある守衛小屋は、お菓子の家をイメージ。
広場へ続く階段の途中に色とりどりの破砕タイルでできたトカゲの噴水がキュートで人気を集めている。

★カサ・バトリョ
グラシア通りに面し、海をテーマにした住宅。
貸し出し用スマホには拡張現実(AR)が搭載されており、ウミガメが泳いでいたり、かつての住人の部屋の食卓の様子がアニメーションで浮かびあがったりする。
近くには、山がテーマのカサ・ミラがある。

★スペイン村
1929年のバルセロナ万博の際に造られたテーマパーク。
北、南、中央、地中海地方の4エリアに分類され、各地方の名所が再現されている。
それぞれの特産品なども手に入る。

★ピンチョス
薄く切ったバゲットの上にスペイン風オムレツ、カニのマヨネーズあえ、生ハムなどをのせ、串で刺したもの。
ビールやワインに合う。

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