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JR福知山線廃線敷

JR福知山線廃線敷 兵庫県 渓谷美しい枕木の道

立ち止まって渓谷美を撮影する人たち=兵庫県西宮市で

立ち止まって渓谷美を撮影する人たち=兵庫県西宮市で

 兵庫県の西宮市から宝塚市にかけて、JR福知山線廃線敷がある。新線の開通に伴い、廃線となった区間で、2016年11月からハイキングコースとして一般開放されている。

 冷え込んだ師走の朝、西宮市にあるJR福知山線の生瀬駅に降りた。西宮観光協会のイラストマップを頼りに廃線敷の入り口へと向かう。「バス停前の横断歩道を渡る」との指示に従って進み、さらに武庫川の支流に架かる大きな橋を渡ろうとすると、向こうから歩いてきた中年女性が話し掛けてきた。

 「廃線敷に行くなら橋を渡っちゃだめですよ。間違う人が多いんですが、そこの脇の小道を行くんです」。こういう、旅先のちょっとした親切がうれしい。教えられたとおりに進むと、無事に注意書きの看板が立っている入り口に着いた。

 上下ともアウトドア用の服装の中高年のグループや若い男女の後について歩き始めた。よく見ると、ほとんど地面に埋まっているが、枕木が並んでいるのが分かる。青空の下、右手に武庫川の渓谷美を眺めながら緩い坂道を歩いていくのは気持ちがいい。どこかで小鳥が鳴いているのも聞こえてきた。やがて六つあるトンネルの最初の北山第一トンネル(長さ319メートル)に着いた。中は無灯で、のぞき込んでも真っ暗な空間が広がっているだけ。用意してきた小さな懐中電灯をつけたが、足元が照らし出されるだけで何とも心細い。遠くにポツンと浮かぶ、先を行く人の明かりを道しるべに進む。出口の光が見えてきた時には、ほっとした。

 次のトンネルは内壁が石積みになっており、お城の重厚な石垣を思わせた。川の両岸から岩が張り出していて、急流が白波を立てている所に差しかかると、歩いていた人たちは申し合わせたように足を止めて、みんな写真撮影に励む。進むに従い、反対方向から歩いてくる人とすれ違うことも多くなり、中には犬を連れている人も。

枕木が残るハイキングコース=兵庫県宝塚市で

枕木が残るハイキングコース=兵庫県宝塚市で

 三つ目のトンネルを抜けると大きな鉄橋があった。川が市境で向こう側は宝塚市だ。渡りきるとすぐにまたトンネルに入る。通り抜けると、それまで右手にあった武庫川が左手になり、流れも穏やかになった。この辺りから、枕木が地表に露出していてデコボコして歩きにくい。休憩用のベンチが置いてあったので一休み。生瀬駅近くのコンビニで買ったあんパンを温かいお茶で流し込んだ。

 この後、桜の名所の案内板を見て、さらにトンネルを二つ通り抜けて、全長4.7キロ、2時間弱のハイキングは無事に終わった。後から来た大阪市北区の山本さん(46)一家に感想を聞いてみると、長女の中学2年生女子生徒(14)は「寒かったけど、鉄橋の所がよかった」、次女の小学4年生女子児童(9つ)も「トンネルは怖かった。でも楽しかった」と満足そう。山本さん自身は何度か来ているといい「このコースは交通が便利でいいですね。きょう撮った写真を年賀状にします」と話していた。

「えべっさん」として親しまれている西宮神社=西宮市で

「えべっさん」として親しまれている西宮神社=西宮市で

 ハイキングの後は、西宮市中心部に戻り西宮神社へ。同神社は「福の神として崇敬されているえびす様を祭る神社の総本社」というが、一般に流布している「えべっさん」の別称のほうが親しみが湧く。来年が良い年でありますようにとの願いを込めてお参りした後、試しにおみくじを引いてみると「願い事 かなう」と書いてあったので気を良くして市内見物に向かった。

 文・写真 松田士郎

(2018年12月28日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
東海道新幹線・新大阪駅で東海道線に乗り換え、大阪、尼崎駅を経て福知山線の生瀬駅または西宮名塩駅で下車する。
帰りは武田尾駅で乗車。

◆問い合わせ
西宮市公園緑地課=電0798(35)3613。
宝塚市公園河川課=電0797(77)2021

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