文化融合 美しく色濃く
サンタクロースといえば寒い国・北欧のイメージだ。そのサンタに地中海に面した町で出会えるとは-。サンタが眠るといわれる聖サンタクロース教会、そこまでの道は果てなく遠かった。トルコのノーベル文学賞候補作家オルハン・パムクの小説「雪」を手に成田を出た。東西文化交流の接点、イスタンブールのアタテュルク空港からカイセリへ。バスで南下しサンタの町デムレに着いたのは日本を出て1週間後だった。
リゾート地、アンタルヤ。真夜中に地中海の石に何度も足を取られて、わが身を浸し早朝、ホテルを出た。バスは地中海沿いに延々と走り続ける。息を殺した波。時々の表情が綾(あや)なす海の光が、かつて何年も過ごした三重県志摩半島や石川県の能登の海をなぜか、思いださせる。
やがて視界が陸側に開けた。
トラックの荷台にはスイカが山積みにされ麦畑、ジャガイモ、トウモロコシ畑が連なり、ヒマワリも咲いている。遊牧民の国にふさわしく何百頭もの羊が放牧され、広大な農地への散水が米国西海岸で見たエデンの園の農村風景と重なる。
バスはとうとう、デムレに着いた。
サンタの町は、ゴミひとつない町並みと素朴な佇(たたず)まいだった。赤と白のサンタクロースのジャンボ像が立つ大通りを歩く。観光客は極端に少ない。風が時折、一帯を吹きわたり、人々の顔が、どこか柔らかくほほ笑む。ラクダ2頭が鼻を上げて大気を吸い、ゆったり座り、黄色いチョウも、ひらりと舞う。
豊穣(ほうじょう)の地ならでは、か。何匹もの大きなハエたちが繰り返し、体にまとわりつき小鳥がチィチィッと、人なつこい。時折見かけるカラフルなスカーフの女性たちも顔半分を出している。ここでは日に五回の礼拝を欠かさぬイスラムの女たちも西欧化し宗教そのものがお洒落(しゃれ)に映る。それでも観光客の大半は地元の家族連れだ。これにヨーロッパの客が加わる。




















