広大な境内に点在する七堂伽藍から
僧侶たちの厳しい修行を思い知る
日本曹洞宗の第一道場として、多くの僧侶が修行する永平寺は今から約750年前に道元禅師によって開創された歴史ある寺だ。三方を山に囲まれ、南側に清らかな永平寺川の流れを望む深山幽谷に位置し、約10万坪を誇る広大な境内には七堂伽藍を中心に70余棟の伝道楼閣があり、「雲水」と呼ばれる150人を超える僧侶が今もなお禅の修行に励んでいる。まずは傘松閣で有名な156畳敷の絵天井を見学。折上格天井にはめ込まれた花鳥彩色画230枚はどれも緻密に描かれていて、見ごたえ十分だ。これらは伊東深水をはじめ著名な作家が描いたもので、230枚のうちの5枚だけ鯉や唐獅子などの動物が描かれているとのこと。また1枚だけ重要文化財に指定されているというのも興味深い。
次は七堂伽藍巡りへ。山門、仏殿、法堂、僧堂、庫院、浴室、東司の7つからなる七堂伽藍はそれぞれが回廊で結ばれ、僧侶たちの日常の修行に欠かすことができない建物だ。修行僧が正式に入門するときの玄関にあたる山門は重要文化財に指定され、両側に邪悪を祓う四天王を祀るその壮観な姿はまさに圧巻だ。4と9のつく日は「危を取る日」とされ、僧侶たちが沐浴を行う浴室や庫院と呼ばれる食堂を巡った後、仏殿へ。伽藍の中心といわれる仏殿は釈迦牟尼仏を祀る堂で、左右に並ぶ阿弥陀仏、三世如来がそれぞれ過去、現在、未来を意味する。静寂の空間は僧侶でなくとも身も心も仏の世界へと導いてくれるかのようだ。
さらに法堂や東司などを巡るが、中でも興味深かったのは僧侶たちが座禅や打眠などを行う僧堂の大きさ。眠るスペースで82人、座禅は162人分の広さでこれはすなわち「座って半畳、寝て1畳」とのこと。こうした厳しい環境の中で修行を積んでこそ、真に仏に仕える者として世にその教えを広めるのだと実感する。

156畳もの広さを誇る、傘松閣の絵天井の間。昭和5年当時の著名な画家144人による230枚の絵が描かれ、いずれもほとんどが花や鳥。しかし5枚だけ動物があり、その中のひとつ、鯉を発見!時間がある限り探してみたい。

長い斜面が続く永平寺の廊下。この廊下を雲水たちは左側通行するのが掟。その理由は袈裟が右なので、触れ合わないようにするためだとか。足音を立てず静かに歩く雲水たちの姿は、仏に仕える者独特の凛とした美しさがある。
「雲水」の意味は「雲のように水のように、とどまることをしないように」とのこと。厳しい修行を積んで仏道を邁進する雲水たちだが、その雲水の修行を体験することもできる。体験プログラムの内容としては朝3時30分の起床に始まり、3時50分からの暁天座禅、朝課とはじまり、夜7時の夜坐までと本格的だ。厳しい内容だが、俗世で汚れた身も心もきれいに清めたいと思うならぜひ体験してみるのも。心身ともに清々しい気持ちになり新たな自分を発見できるかもしれない。
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