「うまい!」。まだ半透明のイカ刺しを口にして、思わず声が出た。“きれ”のある刺し身が食べたくなり、久しぶりに氷見を訪れたが、期待を裏切らない感触に満足した。
氷見は大敷網発祥の地として知られている。能登半島の東側のつけ根に位置し、古くから食通をうならせる鮮魚を供給する漁港としても名をとどろかせている。それを地元で味わうと、また格別だ。
早起きして氷見漁港に行った。まだ明けきらない沖合から、次々と漁船が帰り、勇壮に水揚げされる。仕分けられた魚はすぐ魚市場でセリにかけられる。しばらく見学していると、「2階の食堂で取れたての刺し身が食べられるよ」と地元の人から教えてもらった。
言われた方向を見上げると「氷見魚市場食堂・海寶(かいほう)」の看板。店は朝の早い漁師さんや仲買人たちの便宜を図るため、午前5時半から営業(午後3時まで)しており、一般の人も自由に利用できる。文字通り水揚げされたキトキト(富山地域の方言で新鮮の意)だけに、冒頭の言葉が飛び出した。
刺し身は水揚げされる魚によって毎日変わる。この日はイカのほか、地元ではフクラギと呼ばれるハマチにタイ。それに漁師汁、小鉢、漬物がついた刺し身定食が1050円。とれたてだけに、魚特有のにおいが全く感じられないため、魚嫌いの人でも、自然にはしが延びるほど。刺し身の代わりに焼き魚が付いた焼き魚定食もある。グレードの高い刺し身と焼き魚をセットにした定食は1800円とやや値が張るが、こちらが店の一番人気とか。リピーターも多く、土曜や日曜日は行列ができるという。
漁港内には鮮魚のほか、地元の特産品などが買える道の駅・氷見フィッシャーマンズワーフ「海鮮館」もある。年間60万人を超える来場者がある人気スポット。
魚の街をアピールするため、漁港近くの商店街・潮風通りにはカニやブリ、タイなどのモニュメントが20カ所ほどあり、近づくと「おれ、イカゾウ…」などとそれぞれ違う言葉で話しかける。また氷見は「忍者ハットリくん」や「笑ゥせぇるすまん」で知られる漫画家・藤子不二雄(A)さんの出身地でもあるため、人気漫画のキャラクターが数多く配され、歩きながら楽しめるようになっている。




















