市場の歴史は、8年と浅い。オープンしたのは1998年の10月。中心市街地の空洞化に歯止めをかけようと、周辺商店街の有志が立ち上がった。土地所有権を持つ国土交通省の外郭団体・民間都市開発推進機構と交渉。市場の企画、テナント募集など、四カ月で着工にこぎつけた。3階建てビルを建設。1階は市場、2、3階は駐車場になっている。
当初、市場の営業は5年間の期間限定の予定だった。わずか4坪の店が、1日に70万円近くを売り上げる盛況ぶりで、次第に存続を望む声が高まった。
現在は、民間企業「ひろめカンパニー」が運営。尾崎正隆社長(53)は言う。「市場は一日中、人が途絶えることがない。いろんな客層、年代が時間をつぶせる空間なんですね」
経営の効率化と環境にも配慮。飲食店はレンタルの皿やコップ、スプーンを使用。食器センターの係が食器を集め、まとめて洗い、店に返す。紙の皿やコップは使わない。
飲食店はライバルのはずなのに、隣近所の仲がいい。ネギが余ったらおすそ分け。しょうゆがなければ借りにも行く。競い合いながらも一体となって市場を盛り上げている。
カツオの塩たたきが自慢の店「やいろ亭ひろめ店」に入った。
クジラの舌をゆでた「さえずり」(800円)が絶品。トロのように軟らかく、味はベーコンのよう。ニンニクの葉をすりおろした緑色のソース「ぬた」をつけていただく。
「ドロメ」「ゴリ」「ノレソレ」。珍しい名前の魚がずらり。おかみさんの嶋崎恭子さん(54)が実物を見せながら解説してくれた。
「市場は楽しい。県外の人とも仲良くなれるき」。豪快に笑う。
夏には、市場が風物詩「よさこい祭り」の舞台になる。最終日の8月12日には出場する約700人が、市場内で午前2時まで総踊りするという。飛び入り参加も大歓迎。
普段から祭りのように、にぎやかな場所だ。人情味にあふれていて、居心地が良い。地元の人も観光客も、分け隔てなくお客をもてなす器の広い市場だ。
文・細川暁子
写真・川上智世
(2007年5月25日 夕刊)





















