名古屋への異動とほぼ同時に命じられた取材の行き先は、北欧のかなた「アイスランド」。その名の通り、極寒の大地を想像した。旅行かばんには前任地・松本で活躍した厚手のコートを詰め込んだ。
だが、深夜の空港に降り立ったものの「寒くない」。気温計は6度を差している。聞けば国土の約一割を氷河が覆う一方、活発な火山活動と、周囲を流れる暖流であるメキシコ湾流の影響で、真冬でも寒さは東京とほとんど変わらないとか。周りを見ると薄手の長そでを羽織った人ばかり。目立たないように、コートをかばんの奥に押しやった。
アイスランドの国旗は青地に赤白の十字。「それぞれ海と空、火山に氷河を表している」とガイドを務めてくれた地元ホテル経営者レナートさん(41)が教えてくれた。「では“火と氷の国”をお見せしようか」
首都レイキャビクから北東50キロにある世界遺産、シンクベトリル国立公園。一面の溶岩台地に深さ数10メートル、長さ数キロに及ぶひび割れが無数に走る。これが「地球の割れ目」だ。通常は海中にあるはずの、プレートを生み出す火山山脈の頂上部が、地上で見られる世界でも珍しい場所で、地球内部から出てきたユーラシア、北米の両プレートがここから東西に分かれる。プレートは今も大陸を乗せて動いており、国土は毎年2センチほど広がり続けている。アイスランドで分かれた2つのプレートは日本の地底で再会する。両国とも火山の島国で温泉も多いのは不思議な因縁だ。




















