9月の「加子母歌舞伎」は演ずるのも観るのも村の人
東濃地方は地芝居が盛んで、「かしも明治座」は明治27年に建てられた。現在も稼働している貴重な芝居小屋で、毎年9月初旬には「地歌舞伎」が公演されている。築100余年の歴史は、当時電気がなかったことから建物には自然光で明るくできるように三方に明かり取りの窓がつくられており、正午には舞台の中心に陽が射すような配慮や、樹齢400年、長さ8間(14.4m)以上もある巨木の梁で客席に支え柱を入れずに広い空間をつくり出していることからもうかがえる。また、加子母は木曽檜の産地。江戸幕府の「木曽五木禁伐」により檜を1本も使用していないことも特徴だ。
明治座の安江さんに案内していただく。まずは舞台の定式幕とは別に「娘引き幕」と呼ばれる創建当時の女性が寄贈した幕が現在も色あせずに活きていることや、直径5.5mの回り舞台と背景の説明を受け、2階の化粧部屋と衣装部屋へ。通路の板壁には旅役者の落書きがあり、第十八代中村勘三郎襲名披露公演で書かれたサインもあって見ているだけでおもしろい。階下の大道具・小道具部屋を通り、舞台や花道下の「奈落」へ。薄暗い中心には廻り舞台を4人で回す装置があり、回させてもらえる。そこから芝居の妖怪や亡霊役が登場に使う花道下の「スッポン」から舞台に戻る。一通りの見学の後、たくさんの人が木を切り出し、石を運んですべて手作業でつくった明治座は今も地域の人々に守られているという話が印象的だった。(取材日:2007年10月7日)




















