世界中の登山家の聖地といわれるツェルマット
スイスへ行こうと思い、1冊でお国事情が分かる本はないかと探したら、元スイス大使・國松孝次氏の「スイス探訪」(角川文庫)が見つかった。國松氏は昔、私が警察庁を担当していたころの長官でもある。
懐かしさからページをめくると、伝説の英雄ウィリアム・テルや傭兵(ようへい)の歴史、地方の奇祭などスイスの今昔が分かりやすく記されていた。「これでスイス通になれる」とバッグに忍ばせて成田空港を飛び立った。
スイス南部のツェルマット(標高1、620メートル)は世界中の登山家の聖地といわれる。長いトンネルをくぐり、村に近づくと、アルプスののどかな田園風景が険しい山岳風景に変わった。4000メートルを超す29の峰と、無数の氷河が周辺を取り囲んでいる。ツェルマットは、駅前広場に馬車が並ぶ素朴な高原村だ。細長く延びるバーンホフ通りにレストランや土産物屋などが軒を連ねる。
マッターホルン鉄道の登山電車に乗る。スイス人アプトが発明したアプト式鉄道は歯車の働きでグイグイ急坂を上っていく。
電車の中はスキーヤーでいっぱいだ。オスロから来たという男性は「マッターホルンを眺めながら滑るコースは最高!」とウインクしてみせた。




















