【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. オリエント急行

オリエント急行 ベネチア―パリ 豪華な空間に貴婦人気分

内装を凝らした食堂車での夕食。ドレス姿の女性やタキシードの男性で華やかな雰囲気が漂う=オーストリア国内で

内装を凝らした食堂車での夕食。ドレス姿の女性やタキシードの男性で華やかな雰囲気が漂う=オーストリア国内で

そうこうするうち、レストランマネジャーが夕食の時間を聞きにきた。オリエント急行は、調度品の豪華さや至れり尽くせりのもてなしもそうだが、やはり食事が一番楽しみ。3両ある食堂車は優美な寄せ木細工、ルネ・ラリックのガラスパネル、中国風のペイントと、それぞれ内装が異なり、好みの雰囲気の車両を選ぶことができる。

乗客も夕食時には正装し、男性がタキシード、女性はイブニングドレスが基本だ。慣れないながらドレスに着替えると、淑女気取りで心も浮き立つ。そしてまず、バー車両で食前酒を。ピアノの生演奏が流れる中、オリジナルカクテル「アガサ」を注文した。「オリエント急行殺人事件」を執筆し、この列車を愛したアガサ・クリスティにちなんだカクテルだから、ファンの一人として前から決めていた。赤と黄の対比が美しくさっぱりとした味だった。

食堂車では、メーンダイニングを取り仕切るフランコさんが、いすを引いて座らせてくれる。メニューは前菜がマグロのカルパッチョ。メーンはフォアグラのせカモの胸肉のロースト、アーティーチョークのソテー、チーズ・セレクション。デザートはホワイトチョコレートのクレープ。一皿ずつ運んでくれる料理はどれも美しく、おいしい。カモの上のフォアグラは私の親指より大きいサイズがいくつものっている。ぜいたくな味わいに、思わずため息。少し量が多いが、残してはもったいない。

客室に戻ると、ソファは二段ベッドに変わっていた。毛布にくるまると、レールの響きを気にする間もなく寝入ってしまった。

翌朝、クロワッサンやコーヒー、カットフルーツなどの朝食を楽しむうち、車窓に通勤する車の列、都会の街並みが見え、私の降りる駅に近づくのが分かる。午前8時23分。定刻通りに、パリ東駅に到着。ベネチアから1282キロ。少し背伸びした夢の旅だった。

文・写真 岩下理花

(2007年7月6日 夕刊)

ページ : 1 2 3

みんなのクチコミ情報

コメントを投稿

このページの感想や、実際に行ったことのある方のコメントなどをお寄せください。

(必須)
(必須・半角英数)
(200字以内を目安としてください)

投稿についての注意事項

  • あなたのメールアドレスが公開されることはありません。
  • 投稿は中日新聞社が承認後、順次掲載されます。そのためすぐには反映されません。
  • 旅行の相談・質問に個別に回答することはいたしかねます。
  • 投稿についての詳細はこちら

ヨーロッパのツアー情報

一覧

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

目的で旅を選ぶ
気分で旅を選ぶ
旅コラム
国内コラム
海外ブログ
国内ブログ