空気がひんやりしている。見上げれば、茂った木々が直射日光をさえぎっている。「ザーザー」「ザワザワ」「ポチャ」。清流の音に心が和む。見えないけれど、きっとマイナスイオンがいっぱい。日常生活でよどんだ細胞の一つ一つが目覚め、活力がよみがえる気がした。
十和田八幡平(はちまんたい)国立公園の奥入瀬(おいらせ)。十和田湖から青森県側へ流れる渓流奥入瀬川の沢を歩いた。
道路に並行して散策道がある。その近さに驚いた。車を降りて数秒で秘境の世界が広がる。清流にそっと手を浸すと、身が引き締まる冷たさ。清流は穏やかに石をそそぎ、静かに下流を目指す。
かと思えば一転。大きな岩が入り組んだ場所では、曲がりくねった流れが激しい水しぶきを上げる。通称・阿修羅(あしゅら)の流れ。そこは7月の岩手北部地震で、大岩が散策道をふさいだ。今は整備され、地震の痕跡は感じられない。
ほかにも高さ25メートルもある雲井の滝、幅20メートルにわたる銚子大滝など見どころは盛りだくさん。約8キロ、3時間弱のコースは飽きる暇もなかった。
北へ足を延ばせば1200-1500メートル級の八甲田連峰がある。途中の睡蓮沼から眺める北八甲田はまさに絶景。撮影ポイントとして写真愛好家でにぎわっていた。穏やかな陽光の中で青空と緑の山並みを眺めるうちに、体からスーッと力が抜け、開放感に包まれた。
八甲田ロープウエーで北八甲田の山頂を目指す。高さ50メートルほどのゴンドラからの眺めに圧倒された。視界のすべてが青空か緑。大自然に包まれる感覚を味わった。
山頂では無料ガイドとともに30分コースを歩いた。3時間から5時間かけて周辺を歩き、終点の酸ケ湯(すかゆ)温泉でひと風呂浴びるコースもある。
八甲田山といえば、歩兵隊210人が遭難し、うち199人が凍死した山岳遭難が有名。詳細を知りたくて、青森市八甲田山雪中行軍遭難資料館や記念館「鹿鳴庵」も訪れた。




















