贅を凝らした回遊式林泉庭園と数寄屋造りの屋敷で往時を偲ぶ
九頭竜、足羽、日野の三大河川の扇状地として発展してきた福井。約1500年前には治山治水事業によって一面の沼地が肥沃な平野に生まれ変わり、その後文化の発展にともなって北陸道の要衝として栄えるようになったといわれている。その背景から、市内には歴史的名所が点在。今回訪れた「養浩館庭園」もそのひとつだ。
旧福井藩主松平家の別邸で、江戸時代には御泉水屋敷と呼ばれていた養浩館庭園。福井城本丸の北に位置し、元禄12年(1699)に現在の規模の建物と回遊式林泉庭園が完成、往時の藩主の居館として、また藩の迎賓館として隆盛を極めたといわれている。学芸員の松村さんの案内でさっそく園内を散策することにした。
まずはこけら葺き屋根の建物へ。「ここには主座敷となる御座ノ間と御月見ノ間などからなる座敷邸、廊下でつながれた御湯殿と御台所があります」と松村さん。中でも見どころは池と向かい合うように設けられた御座ノ間。香しい杉の柱やさわら板張りの天井など、風情豊かな数寄屋造りの佇まいに心も静かに。また障子の向こうに見える緑眩しい庭を眺めていると時の経つのも忘れそうだ。
もうひとつの見どころは大きな池を中心とした回遊式林泉庭園。建物を映し込む鏡のような水面のまわりには、景観のアクセントになる岩島や風雅なつくばいがあり、また池から流れ出る水路には美しい曲線の切石橋。贅を凝らした庭園に、往時の藩の栄華を垣間見ることができる。

福井城の天守台下にある井戸で、福井城の築城以前からあったといわれるほど古い井戸「福の井」。ここから清水が湧き、水の心配がなくなったことから県名の由来はこの井戸からきているのではないか、という俗説もある。

福井城の北端にある福井県立歴史博物館。館内は福井のモノとモノづくりの歴史をテーマにした歴史ゾーン、昭和30~40年代の町並みを再現したトピックゾーンにわかれ展示されている。古墳や勾玉、土器や土に埋まった石棺など古代の展示も興味深い。
こけら葺きとは、薄い木片を重ねて敷き詰めた屋根のこと。規律間屋根しか葺くことのできない板葺きに比べ、入母屋や数寄屋造りにも葺くことができる屋根とのことで、なるほど、数寄屋造りの屋敷によく合い、しっとりとした風情をかもし出している。また屋敷内にある櫛形の間も必見。西の池に面して設けられた連窓からは西日に輝く水面を一望、まるで一枚の絵画を見ているような見事な風景が楽しめる。
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