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【愛知】一宮から2件が国の文化財に 「墨会館」と「森川家住宅」

ジャンル・エリア : 愛知  2008年07月30日

打ちっ放しのコンクリートに囲まれ、要塞のような墨会館。右側のたくさんの穴は採光用の窓=一宮市小信中島で

打ちっ放しのコンクリートに囲まれ、要塞のような墨会館。右側のたくさんの穴は採光用の窓=一宮市小信中島で

 国の文化審議会の先月の答申で、一宮市内の会社事務所「墨会館」と「森川家住宅」(主屋、書院、土蔵)が新たな登録有形文化財に選ばれた。市内の登録文化財はこれで11件。一宮の“新名所”として関心が集まる2つの建物の魅力を掘り下げた。

 
墨会館は同市小信中島の染色会社・艶金興業の事務所として、1957(昭和32)年に完成し、現在も使われている。設計は代々木体育館、東京都新庁舎などで知られる世界的建築家の故・丹下健三氏(1913-2005年)。当時の墨敏夫社長が依頼した。

 鉄筋2階建て、延べ床面積2000平方メートル。コンクリート壁の外観は閉鎖的な感じも受けるが、中に入ると窓も大きく、玄関すぐに吹き抜けがあり、広く明るい。コンクリート打ちっ放しで、表面に木枠の木目が浮かぶ。机やいすなどの備品も雰囲気を壊さぬよう、丹下氏が勧めた木製品を使う。屋内には開放感が強く漂う建物だ。

 中庭の庭石は5つ、庭木のスギは5本、1階フロアから庭へ降りる階段も5段…と「5」にこだわる。当時の墨敏夫社長ら5人兄弟が会社を大きくしたことを表現したという。

 丹下氏の設計ということで、全国から建築科の学生らもよく見学に訪れた。墨勇志常務は「会社も繊維も勢いに乗っていたころの象徴。大事にして多くの人に見てもらいたい」と語る。

中庭から眺めた森川家の書院。簡素だが人を飽きさせない=一宮市大和町苅安賀で

中庭から眺めた森川家の書院。簡素だが人を飽きさせない=一宮市大和町苅安賀で

 一宮市大和町苅安賀の森川家住宅は、江戸時代後期の1855(安政2)年の建築。木造2階建て、延べ170平方メートルの主家に、平屋の書院と2階建ての土蔵が隣接。所有者の森川覚子(さとこ)さん(75)は50年以上、主屋に住んでいる。

 欄間などの細工は簡素な造りながら、使われる木材が見事で長時間いても飽きない。数年前に修復されてからは、書院でお茶会を開いたり、将棋の対局をしたり。「家は人の声を聞いていると長持ちする」と森川さん。今月中旬には、当住宅での来年の女流王位戦開催へ向けた実行委の発足式も行われた。

 尾張一宮観光ガイドボランティアの市山隆三さん(67)は「登録文化財が増えると、ガイドもやりがいがある。今回の2件も外観を見るだけでも面白いし、地元の誇りが増してうれしい」と話している。

 (藤原啓嗣)

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