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【福井】元ハンセン病患者の富士山 県立図書館で写真集のパネル展

ジャンル・エリア : 福井  2010年06月24日

4月に発刊された伊藤秋夫さんの写真集(手前)とパネル展=福井市の県立図書館で

4月に発刊された伊藤秋夫さんの写真集(手前)とパネル展=福井市の県立図書館で

 今年4月に80歳で亡くなった福井県出身で、静岡県御殿場市の元ハンセン病患者伊藤秋夫さんの写真集「われ山に向かいて目を上ぐ」のパネル展が29日まで、福井市の県立図書館で開かれている。不自由な指でシャッターを切り続けた数々の写真が、病気や社会からの偏見と闘いながら、美しい自然を愛した伊藤さんの人生を物語る。

 
 伊藤さんは22歳で発病し、岡山県や静岡県の療養所に入所。1966(昭和41)年に写真を始め、晴れた日は、ほぼ毎日出掛けて富士山や季節の花々を撮影した。

 写真集には1万枚のネガの中から、四季折々の富士山の写真約70枚を選び掲載。ススキや桜との美しいコントラストや、夕焼けに染まったり、雪化粧したりした富士山の雄姿を選んだ。伊藤さんが亡くなった5日後の4月10日に発売された。

 県の事業で帰郷したこともあり、妻の節子さん(82)は写真集数冊を福井県に送り、県立図書館や関係者に寄贈。パネル展は22日の「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」に合わせて企画された。写真集のうち14枚を紹介する。

 節子さんは「生きている間に写真集を作り、故郷で写真展を開くことが夫の夢だった。その前に亡くなってしまったのは残念だが、故郷の人たちにもぜひ見てもらいたい」と声を詰まらせた。

 写真集は7000円。問い合わせは、県健康増進課=電0776(20)0349=へ。

 (藤共生)

ハンセン病 
 細菌の一種、らい菌による感染症。患者の外観上の問題から、偏見・差別を受けてきた。国内では1907(明治40)年、「らい予防法」の施行により患者が療養所に隔離され、特効薬ができてからも患者の隔離政策は続いた。96年に「らい予防法」が廃止されたが、高齢となった元患者の多くが今も療養所で生活を送る。県によると福井県出身の元患者は現在27人おり、全員が80歳以上という。

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