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【愛知】「配水塔」はユニークな外観…なぜ? 円盤や柱は安定供給の要

ジャンル・エリア : 愛知  2008年10月27日

円盤を思わせるユニークな形状の鳴海配水塔=名古屋市緑区で

円盤を思わせるユニークな形状の鳴海配水塔=名古屋市緑区で

 名古屋市緑区の住宅街に突如、姿を現した巨大構造物。空飛ぶ円盤か…と見まがうようなユニークな外観の持ち主が今回の特走隊のテーマだ。近くの看板には「配水塔」との説明がある。早速、市上下水道局にお邪魔した。

 
 「ユニークな外観? 別に意図したわけではないと思うのですが」。戸惑いの表情を浮かべる園部照雄水道計画課長。むしろ強調すべきは「機能性」という。

 配水塔は給水塔ともいう。重力を利用して水圧を高め、各家庭に安定的に水道水を送る。その機能を保つため、背の高い円柱状の外観になるのが一般的。記者の見た鳴海配水塔の「円盤」は上部に配置された水槽にあたるという。

 よく知られた東山給水塔(千種区)が脳裏に浮かぶ。三角帽子をかぶったような円すい状の先端部は機能性とは一見、関係ないように思えるが…。「あれもデザインとは別の理由があるんです」

 実は東山給水塔、1930年の完成当時に三角帽子はなかった。ところが、高度成長期にテレビが普及しだすと給水塔が電波障害を引き起こす原因に。このため、電波を拡散させて電波障害を抑える苦肉の策として、円すい状の先端部を取り付けたというのだ。

演劇の練習場に生まれ変わった旧稲葉地配水塔=名古屋市中村区で

演劇の練習場に生まれ変わった旧稲葉地配水塔=名古屋市中村区で

 「ただ、機能性を追求した結果が特異な外観につながり、地域のランドマークとして親しまれるようになった側面はあるのかもしれません」。外壁にツタの絡まる東山給水塔みたいに、歳月を経て人を引きつけるようになる-。おもしろいと思いつつ、取材を進めると、こうした建物に価値を見いだす動きもあることが分かった。ことし7月には都内で日本ヘリテージング協会なる団体も設立されたらしい。

 ヘリテージング? 耳慣れない言葉だが、阿曽村孝雄理事長によると、ガーデニングやウオーキングのようにヘリテージ(遺産)に「ing」を付けた造語で、近代遺産を巡る「知的道楽」だとか。

 市内では東山給水塔と並び、旧稲葉地配水塔(現アクテノン、中村区)もヘリテージングの対象として堂々、認定されている。現在は市演劇練習館として新たな人生を送るこの施設も、水槽容量を変更した結果、それを支える柱を周囲に追加しなくてはならず、パルテノン神殿のようなユニークな外観が生まれた。

 阿曽村理事長は、こうした近代遺産の魅力を語るのに「なつかしい」「めずらしい」「うつくしい」を3つのキーワードに挙げ、こう指摘する。

 「小高い丘の上にすっくと立って人々の生活に欠かせない機能を果たしていた給水塔には住民たちの思い入れも深いのでは」

 (社会部・小笠原寛明)

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