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【愛知】足助「塩座」の認知度じわり 築150年超、保存と活用両立

ジャンル・エリア : 愛知  2011年01月24日

築150年以上の塩問屋を改築してオープンした塩座の外観=豊田市足助町で

築150年以上の塩問屋を改築してオープンした塩座の外観=豊田市足助町で

 信州に塩を送った豊田市足助町の旧中馬街道筋に昨夏、江戸時代の塩問屋の面影を残す店構えが登場した。「塩座」。塩を積み替えた作業場の名称を冠した店は、地元特産品の直売だけでなく、古い町並みを売りにする足助の情報発信を担う。建物の修復には市も協力。小さいながら「道の駅」に負けない憩いの場として定着しつつある。

 
 観光客がそぞろ歩きを楽しむ町並みの中心部。白塗りの2階部分がまぶしい。軒をくぐると、ヒノキと土壁のほのかな匂いが、心を落ち着かせてくれる。塩座は、懐かしさを呼び起こす。

 だが、2007年春には取り壊しの危機にあった。築150年以上。江戸時代末期の商家は屋根が波打ち、柱もゆがんでいた。9代目当主で持ち主の会社員岡本宏之さん(49)はこの危険な建物を解体し、更地にする予定だった。

 待ったをかけたのが、市文化財課の天野博之学芸員(41)=現在は市足助支所=だった。最盛期に13軒あった塩問屋は時代とともに廃れ、現存は岡本さんの建物だけ。「歴史はお金で買えない」と、解体を思いとどまるよう説得した。

 その熱意が岡本さんを翻意させた。「商売が盛んだった町を取り戻したい」。岡本さんにふつふつと沸いた思いが建物の保存だけでなく、特産品をどう売り出すのかというソフト面の取り組みにも向けられた。

 その一つが、岡本さんが07年夏に代表者として立ち上げた「足助まいど商店」。地元の商店主らも参加し、足助の数ある名産の詰め合わせ作りから始めた。ういろ、もなか、山ごぼうのみそ漬け…。各店に狙いを話して協力を求めた。

 独自商品の開発にも乗り出した。江戸時代、各地から集まった塩を独自にブレンドしていた「足助塩」を復刻。塩味のクッキーやあめも作り、近くの店に間借りして売ってきた。

 建物の保存には市が動いた。09年6月、店部分や母屋などを一括し、歴史的な建物として市文化財に指定。修復費の8割は市が負担し、ゆがんでいた柱を元に戻した。

当時のはりを残して修復した店内。岡本さん(左)の前に並ぶのは独自商品の足助塩やクッキーなど=豊田市足助町で

当時のはりを残して修復した店内。岡本さん(左)の前に並ぶのは独自商品の足助塩やクッキーなど=豊田市足助町で

 開店した塩座には、まいど商店の品々が並ぶだけではない。観光客がひと休みしたり、住民の会合スペースを設けた。あんどんを町並みに並べるイベント「たんころりん」や紅葉狩りに訪れた人たちの口コミもあり、少しずつ認知度が上がっている。

 でも岡本さんは「まだまだ」と首を振る。「塩座があるから、足助に行きたい」と言われるのが夢だからだ。

 住民と市は、足助の町並みを国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選ばれるよう準備中。天野さんは「塩座が町並み保存と、活用法の成功例になれば」と期待する。

 塩座の営業時間は金-月曜の午前10時~午後4時。(問)塩座=電0565(62)1205

 (杉山直之)

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