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【富山】開業7店 活性化道半ば 入善町の起業チャレンジ応援事業

ジャンル・エリア : 富山  2011年05月30日

起業チャレンジ応援事業で7店舗目の店は、オーディオと壁いっぱいのレコードがある喫茶店=入善町入膳で

起業チャレンジ応援事業で7店舗目の店は、オーディオと壁いっぱいのレコードがある喫茶店=入善町入膳で

 入善町が、空洞化する中心市街地の空き店舗を活用する「起業チャレンジ応援事業」を2007年度にスタートしてから、7店舗目が今月1日オープンした。店舗の改装や運転資金に上限100万円を助成する事業で「予想以上の開店数」だが、制度運用など課題も見えてきた。(高橋恒夫)

偏る業態 課題多く
出店者「もっと周知活動を」

 7店舗目となる喫茶店「COFFEE TIME」をオープンした下村隆さん(57)は会社を脱サラして店を構えた。同町に住んで30年。手作りのオーディオを置き、壁にはジャズを中心に約2000枚のレコードが並ぶ。

 
 「30歳ごろからオーディオを始めた。お客さんは年配の人が多い。近くに休める店がなかったのだろう。ゆっくりと音楽とコーヒーを楽しめる時間のある人に来てほしい」と話す。

■空洞化

 応援事業の対象となるエリアは、JR入善駅から南側の国道8号までの約36ヘクタール。入善駅から延びる道路沿いは駐車場、交差するいくつかの商店街はシャッターを下ろした閉店、廃業が目立つシャッター通りになっている。交差点に「繁栄」という名の石の彫刻が立ち、皮肉にさえ思える。

 町は「以前は全町内に商店が550軒あったが、平成になるころから商店の閉店や廃業、住宅への転換、駐車場になり、約340軒(00年)に減った」という。

 閉店などが加速したのは1992年、近くに大型ショッピングセンターがオープンしたのがきっかけ。このため入善商工会は県の助成制度を活用して、94年に起業のためのテナントショップを開設。衣料品や農産物を扱う店などが開業したが、3年を待たずすべて閉店した。

 一方、町は98年制定の中心市街地活性化法を受け、99年度に「中心市街地活性化基本計画」を策定し、対策に乗り出そうとした。その後、空き店舗で新たにクリーニングのチェーン店や洋服店が営業するなど一時、空き店舗が減少したが、商店主の高齢化などで再び空き店舗が目立ち始めた。

■100万円

 新たな活性化策を迫られた町と商工会が、起業チャレンジ応援事業制度を創設し、起業を募集したのは、基本計画策定から8年後の07年6月だった。

 事業要綱では、同町または近隣市町在住の20歳以上で、1年以内に商業またはサービス業を創業予定の人。補助率は初期投資経費の3分の1で100万円が上限。2年以内に廃業した場合は補助金全額を返還しなければならない。

 商工会経営指導員の田原明人さんは「県の事業ではさまざまな規制があり、効果的な活用ができなかった。起業する側にとって一番重要なのは資金。開店の際に自由に使えるひもなし資金が必要だと分かった。全国でも融資制度や助成事業はあるが、100万円をポンと出す事業はないはず」と語る。

■消極的

 応募の申し出がなかなかなく、1号店のオープンは1年半後の08年10月。その後は開店が相次ぎ、09年5月には飲食店3軒もオープンした。

 しかし、7店のうち夜に営業する店が4店を占め、業態が偏っている。田原さんは「今後は食料品など物販を優先的に考えたい。エリアも国道8号沿線に広げることを検討したいが、そうすると中心市街地の活性化から外れるので、今後の課題」という。

 出店した人からは「金を出すだけで、事業にあまり積極的でない。商工会はもっと周知活動をしてほしい」と商店街の活性化に向けてさらなる施策を求める。

後記 地方都市のシャッター通り対策として、中心市街地活性化法が施行されたが、効果という点では必ずしも成功例は多くない。

 大都市では元気な商店街もあるが、入善町のような人口規模の小さい地方都市では、大型ショッピングセンターとの競合や後継者不足など取り巻く状況は極めて厳しい。

 7店合わせた年間売り上げは億単位という。同町の事業で廃業した店舗はなく、数少ない成功事例かもしれない。個人的にも応援したくなる。

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