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【福井】越前和紙の製品開発に力 県の職人、販路拡大を模索

ジャンル・エリア : 福井  2011年09月13日

フォト和紙を使った「ココロほっこり展」。写真に柔らかな空気がにじむ=福井市のふくい工芸舎で

フォト和紙を使った「ココロほっこり展」。写真に柔らかな空気がにじむ=福井市のふくい工芸舎で

 全国の伝統工芸品業界と同様に、不況に苦しむ越前和紙業界。県和紙工業協同組合の業者たちは、問屋の注文を受けて和紙素材を作り、問屋に売るという従来の仕事だけでなく、自分たちで製品開発をして販売する試みも始めている。ただ、いずれも営業・販売の経験がほとんどない職人さんたちだけに、販路拡大が重要課題となって、それぞれにのしかかる。

 
 温かみのある写真が印刷できる「フォト和紙」を作る信洋舎製紙所(越前市定友町)の西野正洋さん(38)も、販路拡大に思いをめぐらせる。昨夏に完成させたフォト和紙は、家庭用プリンターで印刷できる手すきの和紙で、コットンをすき込んで独特の質感を出している。裁断をしない、すいたそのままの柔らかな形も、写真に味わいを添える。

 カメラ雑誌で「ふんわりした色の写真に仕上がる」と紹介され、評判は上々。8月に東京で開かれたグッドデザインエキスポでは、5枚入りと10枚入りが売り切れ、消費者の反応に手応えを感じた。

 写真好きの県内女性が集う「福井*カメラ女子の会」は、福井市中央1丁目のギャラリー「ふくい工芸舎」でフォト和紙を使ったグループ展「ココロほっこり展」を10月2日まで開催中。

 そこには、思わず「かわいい」と声を上げてしまいそうな花や動物の写真が並ぶ。同会代表の青野有花さん(24)は「表面がつるっとしていないので黒い色がきつく出ず、夜の写真も柔らかい雰囲気に仕上がる」とフォト和紙の魅力を話した。

 だが、販路開拓については手探りの状態だ。各業者が製品開発に意欲を見せる中で、組合事務局は「組合の店舗や付き合いのある小売店で販売はできるが、悲しいかな高が知れている。どうやって全国に向けて売る体制を構築するか…」と販路開拓に頭を悩ませる。

 問屋を介した現在の生産・流通システムについて、西野さんも「一方的に製品を流しているだけで、消費者の心をつかむ仕掛けがつくれていない」と指摘する。「『伝統工芸品』として売るだけでなく、一般のお客さんが欲しがるようなものづくり、売り方を工夫しないといけない」とも。

 従来は流通機構の“川上”にいた生産者や組合事務局が、今後は消費者志向を反映しながら、流通最終段階の“川下”までを整備できるかどうかに、産地の将来がかかっているという。

 (林朋実)

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