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【岐阜】子亡くした親を癒やしたい 岐阜の高井さんが宮城につるし飾り

ジャンル・エリア : 岐阜  2011年12月13日

東日本大震災で子どもを亡くした親らのためにつるし飾りを作った高井和子さん=岐阜市長良で

東日本大震災で子どもを亡くした親らのためにつるし飾りを作った高井和子さん=岐阜市長良で

 岐阜市長良の主婦高井和子さん(66)がひな人形と一緒に飾る「つるし飾り」を作り、東日本大震災で被災した宮城県東松島市の寺に送る。48年前に交通事故で兄が他界。突然の息子の訃報にぼうぜんとなった母と被災者が重なる。「子どもを亡くした親を少しでも癒やしたい」。洋裁の腕を生かし、半年かけて作り上げた。

 
 つるし飾りは直径50センチの木製の輪に、長さ2メートルの糸が9本付いている。糸には鶴のほか、東松島の海の恵みをイメージして、エビやカメなどをかたどった布製の飾りが通してある。

 高井さんは幼いころに父が他界。5歳上の兄修さんが父親代わりだった。修さんは23歳で、妻の実家がある長崎県に帰省中、飲酒運転の車にひかれ、死亡した。岐阜の自宅に届き、兄の死を知った瞬間、「腰が抜けるような感覚で、何も言えなかった。母はぼうぜん自失の状態だった」と思い返す。

 何をしても涙が出る自分とは違い口数が少ない母は涙をこらえ、気丈にふるまった。後日、母が絞り出すように漏らした「あきらめきれない」の一言が耳に残る。「兄に何もしてあげられなかった悔しさがいつまでも残っていたと思う」

 5月に広島市の原爆ドーム近くで、各地から届く千羽鶴を見て、作成を発案。8月、新聞で東松島市の清泰(せいたい)寺の住職が地蔵を彫り、子どもを亡くした被災者に贈っていることを知って、同寺へ寄贈を思い立った。

 高校卒業後、洋裁学校を経て注文洋服を手掛けてきた。友人から古い着物を譲ってもらい、飾りを1点ずつ縫っていった。完成後、同寺に連絡を入れると、申し出を受けてくれ、境内に飾られることになった。

 高井さんは「大切な人がいなくなるのは気が狂いそうになるくらいつらい。飾りを見て、少しでも気持ちが和らいでくれれば」と話している。飾りは、岐阜市世保南の一休庵ギャラリーで開催しているパッチワーク教室「詞季彩」の作品展で展示している。17日まで。入場無料。

(西川正志)

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