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京町家 京都市

ジャンル・エリア : 近畿  2012年08月23日

吹き抜けの天井で涼しさをもたらす京町家

吹き抜けの天井で涼しさをもたらす京町家


“衣替え”先人の知恵

 京都で今、普段は見学できない建築、庭園、絵画などの文化財を特別公開している。そのひとつ、祇園祭「船鉾(ふねほこ)」の下京区鉾町に立つ職住一体型の町家・長江家住宅を訪ねると、美しい格子が目に飛び込んできた。江戸時代から明治、大正にかけて建てられた建物だ。

 地元のボランティアガイドの説明によると、呉服商だった長江家の格子は「糸屋格子」という。このほかに「茶屋格子」、「出格子」などがあり、昔はどの格子を使っているかで商売の内容がわかった。格子は外から中は見えにくいが、中から外はよく見える構造になっており、防犯効果もバッチリ。

 優れているといえば、夏になると町家は衣替えよろしく、障子は風通しの良い葦(よし)障子に、座敷も素足に気持ちいい籐(とう)むしろ敷へとしつらえを替える。長江家住宅は間口は狭いが、奥行きはたっぷりとある“うなぎの寝床”と言われる縦長の敷地に、店舗、玄関(町家の玄関は客を迎え入れる部屋)、住居、土蔵などが連なる「表屋造り」だ。

 このため、店舗側または土蔵側から一陣の風が吹こうものなら、あっという間に熱い空気が葦障子を通り抜け、部屋は涼しく快適に。しかもそれらの部屋に並行して造られた“走り庭”(土間)の天井は吹き抜けになっており、“おくどさん”と呼ばれるかまどで煮炊きをした時に出る熱を上に逃してくれる。これぞ、エコライフ!節電の叫ばれる昨今、先人の知恵の詰まった町家見学は、何かしらのヒントをくれそうだ。

托鉢の鉢をかたどった泉仙の「鉄鉢料理」

托鉢の鉢をかたどった泉仙の「鉄鉢料理」

 ちなみに、そのおくどさんで布袋様を発見。なんでも京都では初午(はつうま)の日に稲荷大社で布袋様を授かり、おくどさんの棚に飾るのだとか。年々、布袋様を大きくしていき7体そろえば完成。火よけの意味があるそうだが、昔の人もすべてを奪う火事が一番怖かったのだろう。

 先人の知恵を堪能した後は、口にも涼しさをとばかり、汲(く)み上げ湯葉が評判の泉仙大慈院店へ。大徳寺境内にある創業140年の老舗店の自慢は、僧侶が托鉢(たくはつ)で用いる鉢をかたどった「鉄鉢料理」。食べ終わった鉄鉢を重ねていくと、奇麗にひとつにまとまってスッキリ、一切の無駄なし。しまつのいい古都の文化を再認識した。

 ▼メモ 長江家住宅へは地下鉄烏丸線「四条」駅下車、徒歩5分。午前10時~午後4時(受け付け終了)。大人600円、小学生300円。「文化財特別公開」は9月30日まで。京都市観光協会(電)075(752)7070。泉仙大慈院店は京都市バス「大徳寺前」下車、徒歩10分。午前11時~午後4時(オーダーストップ)(電)075(491)6665

(中日新聞夕刊 2012年8月23日掲載)

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