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映画『東京家族』ロケ地 広島県大崎上島町

ジャンル・エリア : まちおこし | 特産  2013年01月17日

多島美に癒やされて

飽きのこない大崎上島・神峰山からの眺め

飽きのこない大崎上島・神峰山からの眺め

 世界に誇る日本映画界の巨匠・小津安二郎の「東京物語」をモチーフに、山田洋次監督が“今”を生きる家族の姿を描いた「東京家族」(19日公開)。落涙必至の物語とともに印象に残るのが、両親が住む瀬戸内の小島での映像だ。山田監督が「日本の故郷の原風景で、見飽きない美しさがある」と選んだロケ地・大崎上島を訪ねると、どの場所からも島々が見え、水平線を見慣れた目にはなんとも新鮮な光景。町が配布しているパンフレットによると島数は115あり、「日本一」とのこと。俯瞰(ふかん)した絵もおもしろいと思い、島のほぼ中央にある神峰山(標高452メートル)にアタックしてみた。

 登山道から山頂まで約2キロ。晴天のこの日は、なんと「しまなみ海道」の各架橋まで見渡せるではないか。青く穏やかな海原を、白波を立てて行き交う船。山田監督の言う通り、いくら眺めていても飽きることがない。

 多島美に浄化された気分で神峰山を下りるとそこは、映画のロケ地となった木江地区。「こんな実家があったらいいのにな」と思った周吉、とみこ夫婦の家のモデルとなったミカン農家をひと目見ようと坂道をのぼっていくと、持ち主で現在は広島県呉市在住の谷本守正さん(75)、美佐子さん(69)夫婦と会うことができた。

かつては造船などでにぎわった島を象徴するCAFE RUMI

かつては造船などでにぎわった島を象徴するCAFE RUMI

 2人はエキストラとして映画出演もしたとか。「ここはミカンと造船で栄えたところ。昔は人を雇ってミカンを作り、もうけたお金で子どもを東京の大学にやった人も多かった」と守正さん。映画のような話は実際にもあったのかもしれない。ちなみに木江地区は大正時代以降、九州から京阪神への航路の寄港地として、また風待ち、潮待ちの停留地としてもにぎわい、かつて船員たちが集まった「CAFE RUMI」(カフェ・ルミ)など2階建てや3階建ての建物が今も300メートルにわたり残っている。

 旅の締めくくりといえばやはり土産。“幻の醤油(しょうゆ)”は、本仕込み2年熟成醤油にもう一度麹(こうじ)を入れ、さらに1年。大豆も小麦も2倍使っている。岡本醤油醸造場で購入する。友達への土産は特産のレモンを使った、すっぱくて甘いジャムが良さそうだ。帰り際、フェリーから見える島々にまた見とれた。今度はミカンの花の香りが町中を包む5月中旬がいいだろうか。

 ▼メモ 大崎上島町は竹原港からフェリーで約30分。山陽商船(電)0846(22)2133。島内の移動は「おと姫バス」(大人200円、子ども100円)が便利。山田監督が映画の構想を練っている時に訪れた徳森食堂(ラーメン1杯530円)は午前10時~午後7時、木曜定休(電)0846(64)2119。豪商・望月東之助の遺構を使った海と島の歴史資料館・大望月邸は午前9時~午後5時、月曜休館、大人200円、子ども100円(電)0846(67)3229。岡本醤油醸造場は予約をすれば工場見学可(電)0846(65)2041、大崎上島町産業観光課(電)0846(65)3123

(中日新聞夕刊 2013年1月17日掲載)

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