ジャンル・エリア : 石川 2013年03月12日

(上)19日から金沢21世紀美術館で個展を開く岩田さん=羽咋市で(下)個展で展示される代表作の1つ「礼文」
院展入選作品や「実験作」紹介
日本画家岩田崇さん(70)=羽咋市=の個展「感動起動装置」(北陸中日新聞主催、石川テレビ放送共催)は19日から、金沢市広坂の金沢21世紀美術館市民ギャラリーで始まる。院展出品作から現代アートに近い実験的な作品など90点の展示となる。23日まで。入場無料。(今宮久志)
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感動起動とは、虚構を構築して鑑賞者の感動を引き出すこと。その装置となるのが、岩田さんの作品類だ。会場は5つに分けられ、新旧作を入館者に見て感じてもらう。
岩田さんの作は、精神的な深みを感じさせるが、第1会場は「失われた仏の光背」を中心に、仏を守る十二神将像を配する。第2では、怒濤(どとう)を描いた「浄波と光」を中心とする。第3は北海道・礼文島の悠遠たる姿を描いた「礼文」と、自然の象徴ともいえる仏たちなどと、岩田さんがこれまで切り開いてきた世界が展開される。
中には、愛娘(まなむすめ)(故人)の少女時代の絵を、2点にまとめた作品もある。「展示については迷いましたが、娘の記憶あるいは鎮魂の意味も込めて、並べようと思いました」と話す。また春の院展に入選した「石仏」「暦日」など5点。さらに師事した今野忠一さん(故人)から教えを受けた小下図も展示する。そのうちの1点は思いも強いそうだ。「先生は完璧だ、と言ってくれたけれど、別の作品を出品しろと言われました。それがなぜだったか、と今も考えさせられます」と笑う。
会場にはほかに、庭師の疋田国博さん、華道・池坊の岩田外博さん、同・草月流の蓮本年子さんが、それぞれの作品を並べて、絵画との共演を楽しませてくれる。