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2000年前に思い巡らす 伊勢神宮(2) 元伊勢 愛知県一宮市

ジャンル・エリア : 三重  2013年03月28日

皇大神宮遥拝所(左方)に隣接する酒見神社の拝殿

皇大神宮遥拝所(左方)に隣接する酒見神社の拝殿

 伊勢神宮が創建されたのは、今から約2000年前。第11代垂仁天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)が、天照皇大神(あまてらすおおみかみ)を祀(まつ)るのにふさわしい地を求めて旅した結果、伊勢の地となったという。倭姫がまわったのは二十数カ所に上り、一時的にせよ天照大神を祀ったということで、これらの土地のことを「元伊勢」と呼ぶことになった。その中のひとつ、愛知県一宮市にある酒見(さかみ)神社を訪ねた。

 社(やしろ)のすぐ前は車の往来が激しい県道名古屋一宮線が通っており、参道はない。由緒書きを読むと、祭神は天照皇大御神、倭姫命、酒弥豆男命(さかみづおのみこと)、酒弥豆女命(さかみづめのみこと)の四神。倭姫命がこの地を訪れた紀元646年、村人によって建てられた社が始まりとある。

 その社は4本の丸柱に屋根が載せてあるだけ。壁もご神体もないため、後に“吹き抜けの宮”と呼ばれたそうだ。現在は本殿裏に、この様式で建てられた倭姫神社があるということで、“吹き抜けの宮”とはいったいどんなものなのか、好奇心を満たすべく鳥居をくぐった。すると、さっきまでの車の騒音はどこへやら。意外にも静かな境内で、鳥の声を聞きながら木漏れ日を浴びていると、なんだかいい気分に。心地良い感じはお伊勢さんと似ているかもしれない。

 参拝を済ませ、“吹き抜けの宮”を探すも、見つからず。代わりに拝殿の左横に「皇大神宮遥拝所」なるものを発見。皇大神宮とは天照大神のことだから、伊勢に向かって拝む場所ということだろう。後で分かったことだが、“吹き抜けの宮”はこの遥拝所の奥にあるのだそうだ。倭姫の心は2000年の時を経てなお、伊勢へと向いているのだ。

日本武尊が剣を研いだという「七ツ石」

日本武尊が剣を研いだという「七ツ石」

 さらに倭姫にまつわる場所はないものかと観光マップを見ていると、倭姫のおいにあたる日本武尊(やまとたけるのみこと)が熱田神宮から伊吹山に向かう途中、持っていた剣を研いだという「七ツ石」(剣研石ともいう)が名鉄妙興寺駅近くにあることが判明。早速、地図を頼りに歩き出す。どんどん住宅街の中へ入って行き、まさかこんなところに伝承の地が・・・と思っていると目の前に巨石出現!

 先客の女性が大きな石の上で刀を研ぐしぐさをしていた。ちなみに、この近くには日本武尊が笠(かさ)を置いて休憩をしたという「笠懸の松」もある。

 古墳や遺跡の多い一宮市。倭姫や日本武尊が訪れた2000年前を想像して、巡ってみるのも楽しそうだ。

 ▼メモ 酒見神社へは名鉄名古屋本線今伊勢駅から徒歩約10分。JR尾張一宮駅からはバス(一宮市循環バス)で約26分(1乗車100円)。七ツ石(剣研石)へは名鉄名古屋本線妙興寺駅から徒歩20分。笠懸の松へは、同駅から徒歩8分。一宮市観光協会(電)0586(28)9131

(中日新聞夕刊 2013年3月28日掲載)

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