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ヴォーリズ建築と豪商の家 滋賀県近江八幡市

ジャンル・エリア : 近畿  2013年05月09日

夫妻ゆかりの品も展示しているヴォーリズ記念館

夫妻ゆかりの品も展示しているヴォーリズ記念館

作り手の精神示す建物

 滋賀県近江八幡市といえば、水郷の町として知られるが、その一方で異国情緒あふれる洋風建築と、古き商家が混在する町でもある。風薫る5月。建築をめぐる町歩きを楽しんだ。

 JR近江八幡駅から北へ歩くこと約30分。下見板張りに両開きの窓、暖炉の煙突もかわいい洋館「ヴォーリズ記念館」が目に入った。設計したのは、メンタームを製造する近江兄弟社の創設者で、建築家でもある米国人のウイリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)。資料によると1905(明治38)年の来日以降、近江八幡を拠点に全国約1600件もの建築設計に携わったとか。常に「建築の品格は人格と同じ。外装より、むしろ内容にある」と考えていたという。記念館も外観は簡素ながら、リビングなど室内には外光がたくさん入るよう設計されている。楽に上がれる緩やかな傾斜の階段、デッドスペースに作られた収納など、生活者の目線に立ったデザインにあふれている。

 そのヴォーリズ記念館から西へ5分ほど歩いたところには、豪商たちの家が立ち並ぶ新町通がある。市の資料館になっている「旧西川家住宅」と「旧伴家住宅」を見て回った。どちらも蚊帳と畳表の販売で財を成したわりに、室内外に華美な装飾は一切なく、商人というより武家のよう。

 「近江商人は倹約家ですが、売り手よし、買い手よし、世間よしの“三方よし”の精神で、社会貢献にはお金を惜しみませんでした」と語るのは、市立資料館スタッフを務める出口登志恵さん。伴家は廃業の後、住宅を地元の自治体に譲渡。資料館になる前は小学校や役場、図書館にも活用されていたそうだ。自分よりもまず相手。近江八幡の建物たちに、襟を正されたかのようであった。

伴家は東京・日本橋にも進出。麻布、蚊帳、畳表を商った=いずれも滋賀県近江八幡市で

伴家は東京・日本橋にも進出。麻布、蚊帳、畳表を商った=いずれも滋賀県近江八幡市で

 ▼メモ JR近江八幡駅からヴォーリズ記念館までは徒歩約30分。入館無料。見学は電話での事前予約が必要。月曜・祝日休。(電)0748(32)2456。市立資料館は旧西川家住宅、旧伴家住宅、郷土資料館、歴史民俗資料館の4館で構成。開館は午前9時~午後4時半(入館は午後4時まで)、月曜(祝日の場合翌日)定休、入館料は大人500円、小中学生300円。(電)0748(32)7048

(中日新聞夕刊 2013年5月9日掲載)

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