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【愛知】芸術家の“トキワ荘” 「覚王山アパート」10周年

ジャンル・エリア : 愛知  2013年05月28日

覚王山アパートの前で思い出を振り返る合田丞さん(手前左)ら「入居者」たち=名古屋市千種区山門町1で

覚王山アパートの前で思い出を振り返る合田丞さん(手前左)ら「入居者」たち=名古屋市千種区山門町1で

 芸術家の卵たちがアトリエや店を構える名古屋市千種区山門町1の「覚王山アパート」が、2003年4月のオープンから10周年の節目を迎えた。針金細工や万華鏡、ガラスのアクセサリーなど個性的な作品に彩られた空間は、全国から来場者を集める観光スポットに成長した。

 覚王山日泰寺の参道の脇道に立つ木造2階建てアパート。延べ120平方メートルの小さな空間を8店が間借りし、作品の制作や販売、展示などに利用している。このうち1店は買い物途中に休憩できるカフェで、営業終了後は商店街関係者の憩いの場になる。玄関先やトイレは、小さな貸しギャラリーだ。

 針金細工店「八百魚(やおうお)」の合田丞(たすく)さん(41)=千種区若水=は、名古屋造形大の学生だったころから針金で人や魚の形のアート作品を手掛けてきた。大学卒業後、しばらくは自宅をアトリエにして、アルバイトをしながらイベントなどで作品を販売していた。

 覚王山かいわいに空き店舗が目立っていた10年前、住人のいなくなったアパートを再利用する構想が地元の覚王山商店街振興組合で持ち上がった。募集を知った合田さんは手を挙げ、15平方メートルほどの一角に初めての店を開いた。

 住み込みではないが、若手芸術家が夢を追い、切磋琢磨(せっさたくま)する覚王山アパートは、若き日の著名漫画家らが住んでいたことで知られるアパート名になぞらえて「平成のトキワ荘」とも呼ばれ、話題を呼んだ。

 旅行雑誌にも取り上げられ、10周年を迎えた今も客足は途絶えない。合田さんの作品にもファンができ、作家として生計を立てられるように。「ここがあったから、好きなことを仕事にできた」と合田さんは振り返る。

針金細工が飾られた合田さんの店=千種区山門町1で

針金細工が飾られた合田さんの店=千種区山門町1で

 八百魚や万華鏡店「prism」など、3店舗がオープン当初からの入居組。入れ替わりはあるが、空きスペースはすぐに埋まるほどの人気だ。

 ガラス細工のアクセサリーを置く「branco(ブランコ)」の浅見友美さん(44)は1年前に店を開いた新入り組。「めちゃくちゃ楽しい毎日を過ごしている。私もお客さんに元気を与えたい」と笑顔をみせる。

 アパートの再生当初から運営にかかわる商店街振興組合会員のアクセサリー店経営、原田忠直さん(50)は「やる気のある人たちに恵まれ、芸術を生かしたまちづくりの拠点になってくれた」と話している。

 (伊藤隆平)

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