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【静岡】三島由紀夫に魅せられて 収集品200点を展示へ

ジャンル・エリア : 静岡  2013年05月30日

三島由紀夫が映画「人斬り」で着た衣装と渥美さん=浜松市中区の浜松文芸館で

三島由紀夫が映画「人斬り」で着た衣装と渥美さん=浜松市中区の浜松文芸館で

◆浜松出身の作家 渥美さん

 作家三島由紀夫(1925~70年)に魅せられ、ゆかりの品を収集している人がいる。原発や臓器移植などをテーマにした小説を手掛ける浜松市出身の作家渥美饒児(じょうじ)さん(59)。コレクション約200点が6月1日から、中区の浜松文芸館で紹介される。

 渥美さんは、三島の小説「豊饒(ほうじょう)の海」から「饒」の一字をペンネームに拝借したほどの熱烈なファン。これまでに集めた品々は、直筆原稿から三島が着た衣装まで約260点に上る。

 1984年、小説「ミッドナイト・ホモサピエンス」で文芸賞を受けた渥美さんの作家デビューは30歳すぎ。東京の広告代理店を辞め、浜松に帰郷した修業時代に三島文学に触れた。初めは「装飾が多すぎる文体」になじめなかったものの、人間像を知るうち「魅力に取りつかれた」。

 コレクションのうち、最も高価なものは三島が映画「人斬り」で着た薩摩がすりと小倉はかま。「人斬り新兵衛」と呼ばれた藩士を演じた衣装だ。三島は映画公開の翌年、市谷駐屯地で自衛隊に「皇軍」としての決起を呼び掛け割腹自殺する。

 着物は自決の翌年、大阪の百貨店で売りに出され京都の古物商が取得。競売に出ると聞き2006年、慌てて連絡を取り、直接譲り受けた。「競りに出されれば、かなりの高額になったはず」と振り返る。

1966年に新宿・紀伊国屋ホールで上演された「リュイ・ブラス」のプログラムに三島が寄せた一文の直筆原稿

1966年に新宿・紀伊国屋ホールで上演された「リュイ・ブラス」のプログラムに三島が寄せた一文の直筆原稿

 フランスの作家ユゴーの戯曲「リュイ・ブラス」のプログラムに寄せた一文は、東京・神田の古書店を通じて入手した。三島の直筆原稿は、ノーベル文学賞の川端康成より希少価値があるという。手が出せるのは原稿用紙2枚が限度だった。

 小説に詩、戯曲、歌舞伎台本、映画監督、脚本、主演・・・。あらゆることを実践した三島。渥美さんは戦時中に兵役を逃れたことを挙げ「後ろめたい思いがずっとあったのでは」と分析し、「『天才は早死にする』を、最期に演じた悲哀も感じる」と話す。

 「生きざまに興味を持ち、のめりこんでしまった」。収集品の山を前に渥美さんは言う。「自分をはじめ、売れることだけを考える、今の作家への戒め。それが収集の意義かな」

 浜松文芸館での「渥美饒児の三島由紀夫コレクション展」は9月1日まで。入場無料。

(勝間田秀樹)

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