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【長野】亡夫とのアイリス、今年も満開 豊丘の田戸さん

ジャンル・エリア : 甲信越 |   2014年05月23日

亡き夫と一緒に続けてきたアイリス園で笑顔を見せる田戸ヒデ子さん=豊丘村で

亡き夫と一緒に続けてきたアイリス園で笑顔を見せる田戸ヒデ子さん=豊丘村で

 中央アルプスを背景に、見渡す限りアイリスの花が咲く。豊丘村の田戸ヒデ子さん(66)は今年も、自宅の畑30アールを「豊丘アイリス園」として開放し、観光客を迎えている。1月に夫を亡くし、休園も考えたが、近所の住民や親類に支えられて開園にこぎ着けた。「夫とやってきた園。これからも守り続けたい」

 花好きのヒデ子さんは会社勤めだった26歳のころ、初めて庭にアイリスを植えた。ピンク、ブルー、クリーム色の球根3種類を1株ずつ。翌年、咲いた花を眺めながら飲んだコーヒーの味が今でも忘れられない。

 当時、アイリスの球根は高価だったから、夫の宣宏さんには内緒だった。でも、花が咲けばすぐにばれる。宣宏さんは「おれのおかず代が花になった」と笑った。以来、ヒデ子さんは徐々に球根を増やして面積を広げ、近所でも有名なアイリス畑になった。

 評判が高まり、ヒデ子さんは観光農園の開園を思い立った。でも、会社勤めの身。悩んでいると、宣宏さんが「おれがやってやる」と言ってくれた。

 2003年に開園。宣宏さんは観光客への案内に立ち、花用のアーチや棚を、こつこつ作ってくれた。花を管理する大変さにヒデ子さんが「体力の限界。もうよしまい」と音を上げた時も「待っている人がいるから、やめれんぞ」と励ましてくれた。

 だが、心臓に持病のあった宣宏さんは今年1月6日に突然倒れ、73歳で亡くなった。落ち込んだヒデ子さんは今年の開園をあきらめかけた。アイリス園を長年見守ってきた近所の人たちが協力して、畑の手入れや消毒、植え替えなどを手伝ってくれた。

田戸宣宏さん

田戸宣宏さん

 ピンクや青、黄色など、230種1万株が植えられたアイリス園で、観光客に「今年は今までにない出来栄え」と説明するヒデ子さん。園内各所に宣宏さんの足跡を見つけ「夫はここにいるようなもの。天国に送った実感はない」と笑う。

 夫婦の思い出が詰まったアイリス園を、今後も守っていくつもりだ。「夫は一番の理解者だった。『きれい』と喜んでくれる人がいる限り、続けていきたい」

 豊丘アイリス園は毎年、約3000人が訪れる。開園は5月中旬から6月初旬まで、午前8時~午後5時。期間中は無休。入園料は高校生以上200円、中学生以下は無料。問い合わせは豊丘村交流センターだいち=電0265(34)2520=へ。

 (石川才子)

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