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【静岡】金属の魅力を知って 沼津の河合さんが作品展

ジャンル・エリア : オブジェ | 静岡  2014年12月24日

銅でつくったヒガンバナと彫金作家の河合隆男さん=沼津市我入道で

銅でつくったヒガンバナと彫金作家の河合隆男さん=沼津市我入道で

◆指の大けが、創作の道へ

 沼津市在住の彫金作家河合隆男さん(44)は、18年前の右手指の大けがをきっかけに彫金の世界に飛び込み、今年で15年になる。作品はどれも今にも動きそうだ。河合さんは「さびの深みを味方につけた金属の美しさを見てほしい」と話す。

 鎌を振り上げて羽を広げたカマキリや、触角が動きそうなハナカミキリ、花弁を広げた鮮やかな赤いヒガンバナ・・・。沼津市芹沢光治良(こうじろう)記念館(同市我入道)で開催中の作品展「現代に生き続ける金属工芸の技」には60点が並んでいる。

 作品の題材は、幼少期に沼津の森や田んぼで出合った草花や昆虫たちだ。金づちで金属板から打ち出した部品を、ろうを溶かして接着し、作品に組み上げていく。銅の着色には、バーナーや硫黄を溶かした液体を使い、さびを付けて赤や緑色に変える。

 河合さんの持論は「彫金の魅力はさびにこそある」。彫金を煮干しに例えて、「生きた小魚に味をつけ乾燥させる工程で余分な水分をそぎ落とすと、深い味だけが残る。さびることで金属に深い渋みを帯びた美しさが現れる点で同じだ」と説明する。

 26歳の時、父の仕事に憧れて始めた溶接作業で、右薬指を機械に挟み大けがをした。切断は免れたが、右薬指は動かなくなった。隣の小指もうまく動かなくなった。

今にも飛び立ちそうなカマキリ=沼津市我入道で

今にも飛び立ちそうなカマキリ=沼津市我入道で

 「力仕事はできない。残された指先でできる仕事をしよう」とリハビリに励み、29歳の時、新聞を見て出掛けた展示会で彫金作品と出合う。自分でもやってみたいと、その日のうちにカルチャースクールに連絡し、半年ほど通った。

 独学で研究し、アルバイトをしながら彫金に専念。修業を始めて3年、沼津や伊豆で個展を開けるようになった。現在は自宅でアトリエを構えながら、地元の飛龍高校非常勤講師として彫金を教えている。

 河合さんは「けががなければ彫金の世界に入っていなかった」と振り返る。「さびて変化したことで生まれる金属の魅力を知ってもらえれば」とほほ笑む。

 作品展は来年1月31日まで。月曜休館。問い合わせは記念館=電055(932)0255へ。

(山下葉月)

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