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【和歌山】しょうゆ発祥の地 和歌山県湯浅町

ジャンル・エリア : グルメ | 文化 | 歴史 | 近畿  2015年02月05日

何も加えず、こうじが造り出すしょうゆの味を守り続けているという角長の仕込み蔵

何も加えず、こうじが造り出すしょうゆの味を守り続けているという角長の仕込み蔵

歴史が醸す“本物の味”

 日ごろ、何げなく使っている「たまりしょうゆ」だが、今や世界の調味料。諸説あるが、1つには13世紀ごろ現在の湯浅町で、金山寺みその仕込み中に偶然、できたものが、その原型とされている。好奇心をかきたてながらルーツ探訪に出かけた。

 長年、自家用の域を超えられなかった「湯浅しょうゆ」は、安土桃山時代になるとようやく商品としての出荷が始まった。江戸期には紀州藩の手厚い保護のもと生産量が大幅に拡大。幕末期には92軒のしょうゆ屋があったといわれ、湯浅湾に通じる大仙堀から船で各地に運ばれた。明治以降は、大手醸造会社に押され次々と廃業。江戸時代から続く町内の醸造元は1841(天保12)年創業の「角長(かどちょう)」だけとなっている。

 角長のある辺りは、古い町並みが残り、一帯が国の重要伝統的建造物群保存地区。通りに漂う、しょうゆの香りをかぎながらのれんをくぐり、次期当主、加納誠さん(65)の案内で仕込み蔵を特別に見せていただいた。創業時の骨組みが残り、天井や壁、柱にはびっしりと、この蔵特有の酵母菌が張り付いている。

かつては、しょうゆの積み出し埠頭(ふとう)だった大仙堀。ここから各地へ運ばれた

かつては、しょうゆの積み出し埠頭(ふとう)だった大仙堀。ここから各地へ運ばれた

 吉野杉で作られた直径2メートルほどの仕込み桶(おけ)からは、歴史と手作りの重みが伝わってくる。加納さんは「しょうゆは、こうじが造ってくれる汁。何も加えないことで本来の味が引き出せる。(私たち)職人は、これを継承しているだけ」と口ひげに手をやりながら話した。

 3年がかりで醸造した最高級の「濁り醤匠(ひしおたくみ)」は300ミリリットル入りで1550円。口に含むと、ほのかな酸味の後、うまみがぐわーっと口中に広がった。量産品とは違う、素朴ですっきりとした味わい。まさに「これが本物」を体感した。刺し身に合うという。敷地内には、湯浅しょうゆの歴史を紹介する私設の資料館もある。

 うまいしょうゆの産地には、うまい料理も。1892(明治25)年創業の旅館「栖原(すはら)温泉」は、近海でとれた新鮮な魚介の創作料理を中心に提供している。予約制でランチは2700円から、夜の会席料理は3780円から。見た目だけでなく、おいしかった。一帯は「有田みかん」の産地としても知られ、さまざまなかんきつ類が年間を通じて出荷、販売されている。 (富永賢治)

近海でとれた新鮮な魚介が並ぶ旅館「栖原温泉」の会席料理=いずれも和歌山県湯浅町で

近海でとれた新鮮な魚介が並ぶ旅館「栖原温泉」の会席料理=いずれも和歌山県湯浅町で

 ▼メモ 湯浅町へは新幹線・新大阪駅からJR特急で1時間半。名阪国道の天理ICから湯浅御坊道路・湯浅ICまで車で約1時間半。角長と私設の資料館は、いずれも年中無休。資料館の見学は午前9時から正午までと午後1時から4時まで。団体のみ要予約。(電)0737(62)2035。栖原温泉は食事が第2と第4水曜定休。風呂は毎土曜定休。(電)0737(62)2198

(中日新聞夕刊 2015年2月5日掲載)

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