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【富山】「売薬」の文化受け継ぐ 富山市

ジャンル・エリア : グルメ | 富山 | 文化 | 歴史  2015年03月12日

江戸時代からの薬だんすも残る「薬種商の館 金岡邸」=富山市新庄町で

江戸時代からの薬だんすも残る「薬種商の館 金岡邸」=富山市新庄町で

伝統の丸薬作り体験も

 北陸新幹線の開業を控えて浮き立つムードの富山市で、ご当地ならではの、売薬産業にまつわる観光スポットを巡った。

 JR富山駅から東へ4キロ余の旧街道沿いにある「薬種商の館 金岡邸」(国登録有形文化財)は売薬の歴史や仕組みを紹介する資料館だ。元は全国を回る「売薬さん」に原料を販売した店舗で、富山空襲(1945年)も逃れた。金岡家から寄付され、富山県民会館の分館としてオープンした。

 明治初期に建てられた母屋は、時代劇でおなじみの大店(おおだな)という雰囲気。正面の壁に並んだ薬だんすは、江戸末期のものも。小さな引き出しがたくさんあり、「センナ」「山梔子(さんしし)」といった生薬の名札が残る。行商の際に薬などを入れた柳行李(やなぎごうり)や七つ玉のそろばんに目を見張った。

 「これは何か分かりますか」と、元分館長で金岡邸を担当する伊藤博さん(61)が畳のへりを指さす。黒っぽいので薬の原料で染めたのかと考えたが、さにあらず。繁栄の証しの牛革製と聞いて驚いた。

 邸内を奥に進むと、ジャコウジカの剥製があった。ガラス瓶に入った生薬の原料は、烏犀角(うさいかく)、サソリなど188種類。原料を粉にするために使われた薬研(やげん)などの製造道具も過程順に並ぶ。

 市街地の池田屋安兵衛商店に向かうと、なまこ壁の店の前に大型バス。店内では香港からのツアー客が、実演担当の中川俊一さん(58)から伝統の「反魂丹(はんごんたん)」を模した丸薬を作る手ほどきを受け、代わるがわる体験を楽しんでいた。売薬は、江戸城で腹痛に苦しむ大名を富山藩主が薬で救ったのを機に、各大名から販売を頼まれたことが始まりとされる。最初は反魂丹が中心だった。

体に優しい料理が並ぶ健康膳=同市の「健康膳 薬都」で

体に優しい料理が並ぶ健康膳=同市の「健康膳 薬都」で

 同店は薬剤師が対面で症状を聞いて和漢薬や薬草を調剤している。2階は製薬工場を改装したレストラン「健康膳 薬都」。定番の健康膳(2160円)は「黒米の山菜おこわ」「高麗人参(にんじん)と鶏団子のスープ」のほか、煮物、焼き物などが付く。「冬は体を温め、夏は体を冷ますのが漢方の基本」と社長の池田安隆さん(59)が季節ごとにメニューを考案している。

 広貫堂資料館は、製薬会社の敷地内にあり、行商の道具や生薬の原料を展示している。見学をすると栄養ドリンクなどのお土産がもらえる。博物館なので、置き薬が他社の製品を含めて買える。クマや布袋(ほてい)などレトロな包装の3点を求めると、おまけの紙風船が同封されていて、ほほが緩んだ。 (小畑一成)

 ▼メモ 名古屋-富山間は特急しらさぎで約3時間半。車は、東海北陸、北陸道で3時間余。名鉄バスセンター-富山駅の高速乗り合いバスもある。「薬種商の館 金岡邸」=(電)076(433)1684=は富山ICから車で20分。富山駅から車で12分、富山地方鉄道東新庄駅から徒歩5分。火曜休館。見学料200円。池田屋安兵衛商店=(電)076(425)1871、広貫堂資料館=(電)076(424)2310=は、いずれも市街地にあり入場無料。「健康膳 薬都」は水曜日が休み。

(中日新聞夕刊 2015年3月12日掲載)

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