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【京都】山あいにある「花背の里」 京都市左京区

ジャンル・エリア : グルメ | 文化 | 歴史 | 近畿  2015年05月14日

山あいに、どっしりとした雰囲気でたたずむ峰定寺

山あいに、どっしりとした雰囲気でたたずむ峰定寺

風雅漂う京の奥座敷

 京都市の奥座敷「花背の里」は、市中心部から北へ車で約1時間。貴船神社や鞍馬寺よりも、さらに北に位置している。京都市左京区だが、山あいにあり「ここが市内?」と思えるほど。花背という名前の由来は「花の美しい北山の懐にあるから」「花の都の北の背骨に位置するから」など諸説あるが、どちらにしても美しい花を連想させる地名だ。

 この地の大悲山(だいひざん)(746メートル)中腹には、本山修験宗の峰定寺(ぶじょうじ)がある。創建は1154(久寿元)年。14世紀に建てられた本堂(国重要文化財)は、清水寺と同様、断崖にせり出した舞台造り。この形式では日本最古の建築物という。大きなマキの木がそびえる山門周辺は季節によってシャクナゲや紅葉が楽しめる。参道脇にある元宿坊の料理旅館「摘み草料理 美山(みやま)荘」は、摘み草料理が自慢。地元の山、川の恵みを食材に、茶懐石の流れをくむ手法で仕上げている。司馬遼太郎らも通っていたらしい。

美山荘の「春の菜籠」には、数品の山菜料理が盛られている=いずれも京都市で

美山荘の「春の菜籠」には、数品の山菜料理が盛られている=いずれも京都市で

 摘み草料理からは、もてなしの心が随所で感じられた。特徴のある文字でしたためたお品書き、手作りのはしは、ドングリの木から削りだしている。胃腸の調子を整えるあけび茶は、夏場に収穫した葉を乾燥させて提供。京都府の地酒とともに出てきた「春の菜籠」には、フキノトウの白和(しらあ)えなど、季節の山菜料理が数品添えられていた。向こう付けはコイのお造り、焼き物はアマゴの木の芽焼き。締めは、セリとマスのまぜご飯。お代わりをすると、さりげなく香の物も替わっていた。何とも心憎い気配りである。

 旬の味を堪能した後、若おかみの中東佐知子さんと話す機会があった。夫で4代目の久人さんは、金沢市内の料亭で修業。この時に知り合い、嫁いできたのだという。京都市内と比べると季節は半月遅れ、冬場の最低気温は氷点下になる地域だが、「どこでも住めば都。それよりも、ゆったりとした中で、風雅を味わっていただきたい」と穏やかな表情で話してくれた。

 この辺りは公共交通の便が悪いこともあり、さまざまなツアーバスが運行されている。今回は、15年前から美山荘の春夏秋冬を味わう旅を提供しているJR東海バスのツアーで出かけた。ツアーといっても観光地は回らず、買い物に道の駅「ウッディー京北」(京都市右京区)や道中の漬物店に立ち寄る程度。料理を味わうことが主体なので食事にたっぷりと時間をかける。帰りの車中では、夏のツアーを申し込みたくなるほどの「おもてなし」だった。 (神納美桜子)

 ▼メモ 「摘み草料理 美山荘」へは、JR京都駅で地下鉄に乗り北大路駅で下車、京都バスに乗り換える。車は名神高速道・京都南ICで降りる。摘み草料理は1人1万5000円(税サ別)から。JR東海バスは、6月27日、7月29日、8月2日にJR名古屋駅前を発着の日帰りバスツアー「美山荘で楽しむ若アユと涼風懐石」を運行する。参加費は1人2万2000円。(電)052(586)9850

(中日新聞夕刊 2015年5月14日掲載)

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