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【石川】金属不足の1945年 幻の陶貨 能美で公開

ジャンル・エリア : 歴史 | 石川  2015年08月12日

【上】子どもたちに陶貨の説明をする島崎透さん(右)【下】太平洋戦争末期に造られた陶貨(左から10銭、5銭、1銭)=いずれも能美市立博物館で

【上】子どもたちに陶貨の説明をする島崎透さん(右)【下】太平洋戦争末期に造られた陶貨(左から10銭、5銭、1銭)=いずれも能美市立博物館で

「戦争続けようとした歴史」

 太平洋戦争末期の1945(昭和20)年、金属不足のため陶土の貨幣「陶貨」がひそかに製造された。敗戦で発行されなかったが、当時の1、5、10銭が戦後70年を機に能美市立博物館で初公開されている。収集した同市寺井町の小学校教諭、島崎透さん(54)は「陶貨を通じて戦争の惨めさや怖さを感じてほしい」と話す。(世古紘子)

 戦争末期、飛行機や武器製造のため鐘や仏具などが集められたが、影響は貨幣にも及んだ。大蔵省造幣局は45年1月、アルミニウムやスズの代わりに陶貨の製造を決定。陶磁器産地の愛知県瀬戸市と京都市、佐賀県有田町の3カ所で1銭を7億枚、5銭と10銭を各5億枚造る計画で生産が始まった。

 ただ、発行直前に終戦を迎え、幻の貨幣に終わった。多くは粉砕処分され、瀬戸市の瀬戸蔵ミュージアムでも6枚が残るのみで、一般に公開されている場所は少ない。

 今回、博物館に並んだのは1銭(直径1.5センチ)と5銭(同1.8センチ)、10銭(同2.2センチ)の1枚ずつ。重さは0.8~2グラムで、いずれも赤茶色の表裏に「大日本」の文字と富士山や桜、稲などがデザインされている。

 同時に珍しい試作品14点も展示し、中には「必勝」の文字を入れた悲壮感漂うデザインも。

 隣には36~45年の1銭を時系列に並べ、金属不足で銅からアルミ、スズ、陶土へと材料と重量が次々変わる様も示した。

 明治期以降の硬貨を集める島崎さんが陶貨に興味を持ったのは20代のころ。貨幣カタログを見て「戦時中は国民生活に近い貨幣にまで影響があったと知った」。古美術商を通して収集し、特に出回らない10銭は戦後70年の今年、やっと手に入った。

 広く知ってほしいと公開を決めた島崎さんは「陶貨を造ってまで戦争を続けようとした日本の姿や歴史を、忘れないでほしい」と呼び掛けている。展示は30日まで(月曜休館)の午前9時~午後5時。

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