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【兵庫】城崎温泉 兵庫県豊岡市

ジャンル・エリア : グルメ | 文化 | 近畿  2015年10月15日

城崎温泉は柳並木や石造りの橋など景観も情緒たっぷり

城崎温泉は柳並木や石造りの橋など景観も情緒たっぷり

名作生んだ宿品格今も

 日本海に近いことから海と山の幸に恵まれ、多くの文人墨客が滞在した城崎温泉。けがの療養のため大正時代初期に訪れた志賀直哉が、小説「城の崎にて」を執筆したことでも知られる。

 JR城崎温泉駅前の通りには、温泉街に向かって100メートル余り飲食店や土産物店がひしめく。11月上旬にズワイガニ漁が解禁になると、シーズン終了まではカニ中心だが、それ以外の時期は甘エビやウニ、イカ、但馬牛などがお楽しみのグルメ食材となる。まだ午前11時前だったので素通りするつもりが、甘エビとカニの海鮮丼の看板に足を止められ、まずは早めの昼食を済ませた。

 少し進むと温泉街の真ん中を流れる大谿(おおたに)川。両岸には柳の並木と80ほどの旅館が続く。大半が木造で、何とも味わい深い景観だ。3階建てが多く、軒を連ねるようにひしめき合っている。理由を地元の人に尋ねると「温泉街には平地が少ないから」だという。

 江戸中期の医者で温泉医学にも通じた香川修徳が「日本一の湯」と称賛した城崎温泉の名物は、7カ所ある外湯と5カ所の足湯巡り。外湯は1日券(大人1200円)を購入すると、何回でも入湯できる。宿泊客には無料パスが用意されている。足湯はもちろんすべて無料だ。無色透明のお湯は、薄い塩味がする塩化物泉。胃腸病、切り傷、神経痛などにも効能があるという。

 無料パスと小銭、タオルを手に浴衣姿で外湯巡りに出かけた。最初に入ったのは名前通り、立派な外観の「御所の湯」。露天風呂が山裾にあり、目の前を渓流が流れていた。「これは素晴らしい」と見とれていたのだが、実はポンプで上げて流している人工滝だった。温泉街の真ん中辺りにある「一の湯」の露天風呂は、山裾の岩盤を直径10メートルほど掘削して造られていたが、野趣たっぷり。屋内の大浴槽の横には、背もたれ付きの足湯があり、思い思いの入浴がじっくり楽しめる。ほかの外湯も、それぞれ特徴があり全部回りたかったのだが、今回は2カ所だけ。残りは、次回以降の楽しみにとっておいた。

志賀直哉が滞在して小説「暗夜行路」を執筆した旅館「三木屋」の和室=いずれも兵庫県豊岡市城崎町で

志賀直哉が滞在して小説「暗夜行路」を執筆した旅館「三木屋」の和室=いずれも兵庫県豊岡市城崎町で

 志賀直哉が滞在した旅館「三木屋」は木造3階建て。当時は城崎温泉では一番の格式だった。時代を経ても、その品格はとどめていて、行楽客たちが写真に収めていた。「暗夜行路」を執筆した2階の8畳間からは見事な中庭が一望できる。執筆の様子を思い浮かべているとおかみの片岡知子さんが「“城の崎にて”は、道路の向かい側にあったかつての本館で書かれました。希望者には泊まっていただいています」と教えてくれた。

 (富永賢治)

 ▼メモ 城崎温泉へは、JR京都駅から特急で約2時間半。車は京都縦貫道・宮津天橋立ICと播但連絡道路・和田山ICから、ともに約1時間半。温泉街の近くには景色の良い日和山海岸、兵庫県立コウノトリの郷公園などの観光名所もある。「三木屋」(電)0796(32)2031。城崎温泉観光協会(電)0796(32)3663

(中日新聞夕刊 2015年10月15日掲載)

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